親子の会話は「子9割:親1割」がちょうどいい訳 コミュニケーション力が育ち「自分で決められる子」に

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子どものコミュニケーション力を伸ばすために、親ができることは何か。1992年にシカゴ大学の心理学者だったベッティ・ハート博士とトッド・リズリー博士が発表した研究がそのヒントを与えてくれます。

この研究によると、1〜2歳の間に親から肯定的な言葉でたくさん話しかけられた子どもは、そうでない子よりも3歳になったときに覚えている語彙の数がおよそ2倍あるそうです(現在も研究は継続中)。

また、子どもに肯定的な言葉かけをしながら育児を行っていた場合、そうでなかった場合と比較して、学童期(6〜12歳)以降の子どもの学力がアップしているという研究もあり、同様の結果が日本国内でも確認されています。

「汚いから触っちゃダメ」「危ないから登らないで」「時間がないからそんなこと言わないで」など、子どもと過ごしていると「子どもの行動を制限する言葉」を口にせざるを得ない場面もありますよね(私もよくあります涙)。

本当に危険な場合は止める必要がありますが、こうした言葉をかけられ続けると、子どもはコミュニケーション力を伸ばす機会を失い、やがて自分で感じたり、考えたりすることをしなくなってしまうのです。これでは「自分で決められる子」にはなれません。

それでは、どのような親子のコミュニケーションを使って子どものコミュニケーション力を伸ばしていけばいいのか。そのポイントを見ていきましょう。

命運は「親の聞き方」にかかっていた

「今日ね、お砂場でこうすけ君がね、みんなで作ったお城をね、壊しちゃってね、ゆりこちゃんがね、『えーんえーん』ってなっちゃったんだ。でね、みんなも一緒にね、『えーんえーん』ってしちゃったんだよ」

幼稚園から帰ってきた子どもが、今日の出来事を話してくれました。こういうとき、あなたはどうやって子どもの話を聞きますか?

「それはこうすけ君が良くないよ!」「砂のお城はどうなったの?」「先生はなんて言っていたの?」など、こんなふうにいろいろと聞きたくなってしまいませんか?

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