197件もの品質検査不正が明るみに出た
2022年10月20日、三菱電機の品質不適切行為に関する調査委員会が最終報告書を公開した。2021年6月に品質検査不正が発覚して以来、1年4カ月もの時間をかけ、同社の22すべての製作所などを対象にした調査が終了した。
不正発覚後の2021年8月に社長に就任した漆間啓氏は東洋経済のインタビュー「品質不正調査に1年4カ月、三菱電機社長の決意」で「(時間はかかっても)全部洗い出すことが肝要だ」と述べ、膿を出し切る姿勢と覚悟を貫いてきた。
報告書によれば、品質不正は197件に上った。故意による不適切行為は112件に上る。不正の一部は1980年代から行われており、組織的な不正であると指摘された。
その多くは、現場での手間やコストを削減するために、顧客と合意した検査回数を減らしたり、合意とは異なる方法で検査を実施したりしたというものだ。
顧客には合意どおり検査した旨の試験証明書を提出していた。不正発覚後も続いていた不正も明らかとなった。
197件のうち、管理職が関与したと認定されたものは62件だった。
多くの不正は課長以下で行われており、ほとんどの所長や部長が不正の存在そのものを知らなかった。漆間社長は「(現場の従業員が)自分たちで解決すればいいとか、長年続いているからそのまま後につなごうという気持ちがあった」と述べている。
起きた事象だけを見れば、「現場の暴走」のように見えるかもしれない。しかし、実態はそれほど単純な話ではない。
現場がそうした行動をとらざるをえなかった組織全体の体質に問題があると言わざるをえない。漆間社長も「幹部や管理職が現場の目線になって寄り添えていなかった」と述べている。
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