「現場を管理しすぎる会社」が没落する必然3理由 「失われた30年」最大の被害者は「現場」だ!

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社員の仕事ぶりを管理する上司
「現場を管理しすぎる」と会社が劣化する「驚きの理由」とは?(写真:metamorworks/PIXTA)
『現場力を鍛える』『見える化』など数多くのベストセラーがあり、経営コンサルタントとして100社を超える経営に関与してきた遠藤功氏は、「GAFAMにあって日本企業にないのは『カルチャー』だ。組織を強くするには『現場からのカルチャー変革』が極めて重要」だと主張する。
このたび、その「カルチャー」を真正面から解説し、「組織を劇的に強くする方法」を1冊にまとめた『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える 「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋』が発売され、発売後たちまち大増刷するなど、話題を呼んでいる。
その遠藤氏が、「『現場を管理しすぎる会社』がどんどん劣化する3つの必然理由」について解説する。

現場による「自主管理」が進まない悪循環

いま、多くの日本企業が置かれた状況は深刻である。

『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える 「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

「イノベーションが生まれない」「労働生産性が低いまま」、さらには「不正や不祥事が頻繁に起こる」といった事態に直面している。

かつては日本企業の誇りの源泉だった現場が、不正や不祥事の温床になるほど傷んでしまった

この状態を抜け出すには、組織の「現場力」を再強化するしか道はない。

しかし、ここで大切なのは、現場力とは、たんに組織能力(ケイパビリティ)ではないということだ。

「健全な組織風土」「独自の組織文化」によって形成される「カルチャーとしての現場力」と、その土壌の上に形成される高い実行能力、すなわち「ケイパビリティとしての現場力」の二層構造によって「現場力」は成り立っている。

「現場力」は二層構造から成り立つ。健全で良質な「土壌」(文化+風土)があるからこそ、強くてたくましい「根っこ」(組織能力)が育つ(出所:『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』)

やみくもに現場を管理するのではなく、健全な組織風土、組織文化、つまり「カルチャー」を十分に整えることが先決である。

それによって、現場で働く人たちの心理的環境を整え、「現場起点」「現場主導」で進めることがきわめて重要なのである。

「現場を過剰に管理する会社」は、なぜ劣化してしまうのか。その理由について考察しながら、「カルチャーとしての現場力」を鍛えるためのヒントを探っていきたい。

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