現場による「自主管理」が進まない悪循環
いま、多くの日本企業が置かれた状況は深刻である。
「イノベーションが生まれない」「労働生産性が低いまま」、さらには「不正や不祥事が頻繁に起こる」といった事態に直面している。
かつては日本企業の誇りの源泉だった現場が、不正や不祥事の温床になるほど傷んでしまった。
この状態を抜け出すには、組織の「現場力」を再強化するしか道はない。
しかし、ここで大切なのは、現場力とは、たんに組織能力(ケイパビリティ)ではないということだ。
「健全な組織風土」と「独自の組織文化」によって形成される「カルチャーとしての現場力」と、その土壌の上に形成される高い実行能力、すなわち「ケイパビリティとしての現場力」の二層構造によって「現場力」は成り立っている。
やみくもに現場を管理するのではなく、健全な組織風土、組織文化、つまり「カルチャー」を十分に整えることが先決である。
それによって、現場で働く人たちの心理的環境を整え、「現場起点」「現場主導」で進めることがきわめて重要なのである。
「現場を過剰に管理する会社」は、なぜ劣化してしまうのか。その理由について考察しながら、「カルチャーとしての現場力」を鍛えるためのヒントを探っていきたい。
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