多くの日本企業で現場の管理強化が強まるなかで、実質の伴わない「現場管理」ばかりが増え、その結果、「現場力が弱まる」という悪循環を招いてきたのも事実だ。
平成に入り、日本企業は「ガバナンス強化」という名目で、アメリカ流の管理手法をあまり深く考えずに導入した。
内部統制、コンプライアンス、ハラスメント防止、ISOなどの管理手法が矢継ぎ早に導入され、現場管理者や監督者の管理業務や報告業務は増加の一途を辿っている。
そして、事故や不手際が起これば、すべて現場のせいにされ、また管理が強化されるという悪循環に陥った。
こうした管理手法が無意味だ、必要ないと言うつもりはない。
しかし、「本社や本部が現場を精緻に管理する」というマイクロマネジメントが広がることによって、日本企業の根底にあった「現場自らが管理する」という「自主管理」の気風は消滅してしまった。
経営において「現場管理」は必要不可欠だが、その基本は現場による「自主管理」でなければならない。
現場自らが自分たちをしっかり管理できれば、本社や本部による管理は比較的軽く済む。「自主管理」できない現場を放置するから、「過剰な管理強化」につながるのだ。
ほんどの経営者は「現場」に関心がない
また、経営者と現場の「溝」も深くなった。
ほとんどの経営者は「現場」に関心がなく、気が向いたときにふらっと訪れるだけだ。しかも、現場責任者からおざなりの報告を受けるだけで、現場の実態など知ろうともしない。
そんな状況が30年も続いた現場が「受け身」になるのは、ある意味では当たり前のことだ。
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