「現場を管理しすぎる会社」が没落する必然3理由 「失われた30年」最大の被害者は「現場」だ!

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過度な管理強化により、現場の活力が失われていくプロセスをここまで見てきた。現場力という競争優位は、「現場の主体性」から生まれることを再認識し、「現場主導の動き」を開始し、広げ、大きくしていくことが肝心だ。

そのためには、次の3つのことを現場に取り戻したい。

① 【自主性】自分の「力」で考え、行動する
② 【自発性】物事を自らの「意志」で進んで行う
③ 【自律性】自分の立てた「規範」に従って、自らの気持ちや行動をコントロールする
「現場の主体性」を形成する「3つの要素」。社員一人ひとりが自らの「力」で考え行動し、「意志」を持って自らの「規範」で律するようになれば、個から組織全体に「大きな活力」が生まれる(出所:『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』)

社員一人ひとりが自らの「力」で考え、行動し、自らの「意志」を持ち、自らの「規範」で律するようになれば、個から「大きな活力」が生まれてくる

そして、そんな個が連携し、チームを組めば、そこから生まれる活力は最大化される。それこそが「カルチャーとしての現場力」である。

「意志なき現場」はロボットや機械と同じである。「こうしたい」「こういうふうに変えたい」「こういうことをやってみたい」……。現場の「意志」こそが「気」となり、大きな「活力」となることを忘れてはならない。

現場こそが、会社の「主役」であり「エンジン」

「カルチャーとしての現場力」の核心は、現場こそが会社の「主役」であり、「エンジン」であることを会社で再認識することである。

「誰が価値を生み出しているのか」「誰が汗をかき、実行しているのか」「誰が稼いでいるのか」ということをあらためて全員で確認し、「現場を会社の主役に据える」ことなしに、「カルチャーとしての現場力」は高まらない

主体性や身体性は「プライド」から生まれる。現場で働く一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、チームの一員であることに喜びを感じ、会社に対して忠誠心を持つ。これは何物にも代えがたい会社の「財産」である。

だからこそ、「現場の努力」「現場の知恵」「現場の成果」を、時に他者が認め、褒め称える「他者承認」がとても大切である。

「よくやってるね」「ずいぶんとよくなったな」「着実に進化しているね」といった何気ない幹部や上司の言葉は、現場にとっては「百人力」である。リスペクトを感じた現場は、「強烈なプライド」を持ち、「とてつもなく大きな力」を発揮する

このようにして、現場の「心理的環境」、すなわち「カルチャーとしての現場力」を整えることから、現場の「自主管理」能力を高め、自立し、自走する現場を取り戻すことがなにより大切なのである。

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遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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