三菱電機、若手・中堅が挑む「組織風土改革」の全貌 改革は道半ばだが「変化の兆し」は見え始めてる

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 12
拡大
縮小

一連の不正の背景として色濃く浮かび上がってきたのが、社内におけるコミュニケーションの断絶である。

 深刻だった「コミュニケーションの断絶」

各事業本部内における上下、横のコミュニケーションが絶対的に不足していた。

また、本社と現場のコミュニケーションも十分とは言えず、組織運営の基本であるコミュニケーションが長年、機能不全を起こしていた。  

上からの一方的な指示や通達ばかりが現場に降ろされる一方、現場からの声は上には届かなかった。現場の実態や問題を上司に伝えても、その声は途中でかき消され、現場は問題を抱え込んでいた。

現場の担当者が直接所長や部長とコミュニケーションすることも稀だった。組織内の上下のコミュニケーションのパイプが深刻な目詰まりを起こしていた。

その点については漆間社長自身も「どうしても相手に対して『そうじゃなくてこうだろう』とか先に言いたくなってしまう。私自身もどうやったら『聞く』ことができるようになるか、ということを考えた」と反省の弁を述べている。

また、事業本部制による縦割り意識が強く、事業本部間の人事異動は極めて限定的だった。各事業本部には複数の製作所がぶら下がっているが、製作所間での異動すら稀だった。組織のたこつぼ化が進み、狭い人間関係だけに依存し、不正が起きやすくなっていた。

さらに、本社と現場、経営層と現場のコミュニケーションの断絶も深刻だった。

ガバナンスレビュー委員会の山口利昭委員長は「(不正を)指示し共謀している人がいるだろうと調べたが、客観的な証拠はいっさい出ず、執行役はこういう問題が起きていると認識していなかった。本社と現場のあまりにも大きなコミュニケーションの断絶があったとしか思えない」と語っている。

次ページ打ち出した「3つの改革」の中身は?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT