漆間社長の危機感、改革への本気さは執行役、所長、部長へと伝わり始めている。
実際、配線用遮断器などを製造する福山製作所では、生え抜きではない女性所長のリーダーシップの下、さまざまな変化が生まれている。
「改革の本気さ」が伝わると、現場にも変化が生まれる
部長クラスほぼ全員を交代させ、他の製作所や研究所からも抜擢した。これまでは所内での昇進が当たり前だったので、所外からの抜擢は異例である。
部長クラスだけでなく、管理職クラス約50名のローテーションも実施した。これまでの硬直的だった人間関係に風穴を開け、「新たな視点」や「異見(異なる意見)」が生まれやすい環境を整えた。
所内での投資費目も大きく見直し、前例踏襲ではなく、優先順位の高いものへ振り向けている。また、新規事業を立ち上げるチームを専任体制で組成した。いずれも、これまでにはなかったダイナミックな変化である。
こうした変化は、従業員の意識や行動にも変化をもたらしている。
私が同所を訪ねた際も、課長や係長から「変わってきたという実感はある」「所長から気軽に相談してね、一緒に考えようと声を掛けてもらっている」という声を聞いた。
製作所の空気感は明らかに変わりつつある。
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