(第54回)【2011年度新卒採用戦線総括】行きすぎた就職戦線をいかに是正していくか

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(第54回)【2011年度新卒採用戦線総括】行きすぎた就職戦線をいかに是正していくか

HRプロ株式会社
 前回は、就活、採活における就職ナビの役割について論じてみた。しかし、就職ナビは万能ではない。「就職ナビではコンタクトが困難だと感じる大学」が存在する。一般的に旧帝大クラス、早慶クラスなどの偏差値上位校はコンタクトしづらい。そしてどんな大学であっても文系より理系へのコンタクトが難しい。ただし、ここでの「コンタクトの困難さ」とは、「反応(プレエントリー)を獲得する困難さ」と同義にとらえてほしい。
 この「コンタクト困難層」には、大手企業にとってぜひ欲しい学生がいる。メーカーの場合はなおさらだ。そこで企業はコンタクト困難な大学層を「ターゲット大学」として設定し、特別な対策を採っているケースがある。
 要するに就職ナビで集まる大学の学生は、Webテスト、エントリーシートなどで多くを絞り込んでしまう。

「2011年度新卒採用戦線」を総括してきたが、データを分析して感じるのは、就職戦線に大きな矛盾が生まれているということだ。企業は「質」重視の姿勢を明確にして、重点ターゲット戦略を強化している。東大などの超上位校の内々定は早期化し、重複が目立つ。そして内々定獲得後は就活を早期に終了させている。

 その一方で多くの学生は不安に駆られ、多くの企業にプレエントリーしたために、企業の処理能力を超える数になっている。そして「いかに良い人材と出会うか」という目的達成の前に、「いかにスクリーニングする(絞り込む)か」が大きな採用課題になっている。

 企業がこのようなやり方でいいと考えているわけではない。9月6日に開催された東洋経済HRフォーラム2010~「グローバル人材育成の最新潮流」のパネルディスカッションでも、「いまの就職のやり方には疑問がある」「学生はかわいそうだ」との意見が、複数企業から上がった。
 大学や産業界からも、行きすぎた就職戦線を是正すべきだ、との意見が目立ち始めている。2011年度採用戦線総括を締めくくるに当たり、この問題について考えてみたい。

●採用戦略の柱が「母集団形成」から「ターゲット採用」へ変化

図表1【ターゲット採用戦略】
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