3月に入り、学生の就職活動もいよいよ最終局面の面接を迎える。すでに面接を受けた学生もいるだろう。しかし日本の主要企業のほとんどは4月からが面接の本番だ。
その面接で、最近、学生に「地頭のよさ」を評価する企業が増えているという。「地頭」の概念とは企業ごとに異なるのか、また数字では推し量れない学生の「地頭」を企業の採用担当者はどのように見極めているのか、といった点について、企業アンケートでその実態を調査した。
「採用担当者が考える地頭力」企業アンケート 対象:採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」(http://saiyopro.com)にて、 登録会員の採用担当者約1100人にアンケート調査を実施。うち115社から回答。 実施期間:2008年2月8日~2月15日 調査方法:Web上でのアンケート 調査・集計:採用プロドットコム |
●企業は学生に「地頭のよさ」を、より求めるようになっている
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近年、企業は学生に「地頭力」をより強く求めるようになっている。その理由は、(1)生き残り競争が激化するビジネスにおいて人材力こそが企業力の差になる時代になったこと、(2)学歴偏重から、実社会で成果を出す能力に選考の力点が大きく移っていること、(3)少子化、ゆとり教育の影響で優秀層が減っているという認識を企業が持っていること、などが考えられるだろう。
●採用担当者が求める「地頭のよさ」とは
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では、採用担当者が言う「地頭のよさ」とは一体何を指すのだろうか。まずは採用担当者の回答を聞いてみよう。
・「相手の真意を読み取る能力、問題意識、視点の高さ、物事への対応スピード、頭の回転の速さ、吸収の早さ等」(ビジネスコンサルタント・シンクタンク) | |
・「頭の回転が良く、論理的な物事の捉え方ができ、抽象的な概念への適応が迅速にできる」(人材サービス) | |
・「知的な頭のよさではなく、物事を論理的に考えられ、かつ直感や発想力などの感覚が優れていること」(フードサービス) | |
・「知識だけにとらわれず、即座に状況判断ができる」(建設・設備・プラント) |
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・「問題を先読みできる能力。そしてその問題を解決するためにどう行動したらいいかを考え、成果に結びつけることのできる力」(その他サービス) |
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・「機転が利く。相手の状況や言動から自分が何をすべきかを瞬時に察することができる」(住宅・インテリア) |
実は、採用の世界で「地頭のよさ」に対する明確な定義があるわけでなく、採用担当者によって見方にかなりの差がある。大別すると、狭義と広義の意味合いに分けられるだろう。
狭義の「地頭のよさ」とは、コンサルティング会社や外資系企業の面接試験で良く出される質問、たとえば「日本全国に電柱は何本あるか?」(※)といった問いに対する回答のプロセスで見極めようとされる能力で、「論理構築力」「抽象化能力」「頭の回転の速さ」といった言葉で置き換えられる。
一方、広義では、人間としての賢さ--理解力、バランス感覚、コミュニケーションでの勘の良さ、機転が利く、空気が読める、素直、吸収力が高い--といった能力を広く指す。狭義の「地頭のよさ」が「キレ者」だとすると、広義のそれは「賢者(偉人のことではない)」のイメージに近い。日本の一般企業は広義の方を評価する傾向が強いようだ。
しかし両方に共通しているのは、それが偏差値的な学力・知識量のことではなく、現実社会で有効な成果をもたらすための思考力を指すことである。
※「地頭力を鍛える」(東洋経済新報社、細谷功)より引用
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