●矛盾と弊害が大きくなってきた2000年代のWeb依存就活・採活
図表2【新卒採用が抱える根本的な問題】
矛盾が大きくなるのは2000年代に入ってからだ。パソコンはブロードバンドでネットにつながり、携帯電話もネット端末になった。業界研究も企業研究も、まずは就職ナビ。プレエントリーは30社でも50社でも簡単にできる。企業も楽になった。手書きのエントリーシートを読むのは時間がかかる。Webで送られてくる情報は、そのままデータ化でき処理は簡単。そして学生のスクリーニング(絞り込み)を含めて採用活動を効率化するサービスがいくつも登場した。新規参入企業も多かった。
こうしてWebが就活、採活の基本手段になっていき、はっと気づくといつの間にか就職戦線は10月1日に始まり、延々と5月まで続く。秋採用を実施する企業は10月、11月でも仕事をしなくてはならない。人事は一年中採用に追われ続ける。
一部上位校の学生は、すっきりと内定を得るが、大手人気企業を目指した多くの学生は面接に行き着けないまま落ち続け、心が折れて、モチベーションを失ってしまう。
大手企業と中小企業の人材格差も顕著になった。就職ナビは簡単にエントリーできるので、中小企業にエントリーする学生も確かにいる。したがって新卒採用は中小企業にとっても必須だが、「とりあえずエントリー」なので採用につながらない。
日本人の多くは、「新卒一括採用」が一般的な採用方法だと信じているが、世界を見てもこんな採用方法の国は存在しない。「新卒」「中途採用」という概念すらない国のほうが多い。
日本独自の「新卒一括採用」がうまく機能していた時代には、それでも良かった。しかし現在では矛盾と弊害が大きくなりすぎている。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら