常見:なるほど。アトラクティブというのは、いい論点だと思います。日本の場合は、子育てだけじゃなく親の介護をしなければいけない人も増えていくでしょう。優秀な社員を会社に留め続けるには、生活の多様性についても考慮しないといけないわけですね。
白河:これから日本の労働人口が減っていくのは明らかです。社員の多様性を考慮できない会社が人材獲得競争において成功するとは思えません。
「在宅勤務」は長時間労働を促しかねない
白河:最近は大企業の中でも、社員の働き方を変える改革に積極的な企業が増えてきました。たとえば、大和証券なんかがそうですね。それまで証券会社といえば長時間労働が当たり前でしたが、鈴木茂晴会長は自分が営業として働いていた経験から「働き方の生産性が悪い」と思っていたそうで、2007年に「19時前退社」を励行しました。
そうすると男性だけでなく、女性社員が以前よりも成果を出すようになり、辞めなくなったそうです。もともとは女性のためではなく、自分が嫌だったことをやめたわけです。でも、それが結果的には女性の活躍にも繋がった。これはすごくいい気づきだと思います。
制度というのは、女性や一部社員のためだけに作ってしまうと、結局使いにくい。子育て期の女性だけが「早く帰る」「在宅勤務する」ということになると、不公平感がでて会社もぎくしゃくするし、本人も居たたまれずモチベーションが下がったり、辞めてしまう原因になります。
常見:面白い。
白河:だから社員全員が使える制度として作らないとだめですね。そういう点では、今年リクルートホールディングスが全社員に在宅勤務を認めたのはおもしろいですね。ただし、リクルートの社風だと、在宅で朝の3時まで働くことになってしまわないかが心配ですが。まずは、長時間労働の要因を整理し、そのうえで在宅勤務がいいのではないでしょうか?
常見:その可能性はありますね。在宅勤務が出来ることで、逆に長時間働くことになりかねない。働きながら子育ても出来ると言いながら、それってどうかと思います。
白河:そうですね。実際ワーキングマザーで、子どもを寝かしつけた後3時まで働いたり、または子どもと一緒に早く寝て、朝4時とかにメールをくれる人もいる。結局長時間、残業代もつかずに働いているような、そういう方は多くいらっしゃると思います。
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