女がガッカリする会社は男もだいたい不幸だ 白河桃子さんと考える最強の就活と働き方

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常見:既存のルールに固執せず、時代時代で社員が働きやすい環境を整備する企業がこれから成長していくと考えています。だから、学生たちも企業の変化する姿勢を読み取って、それを会社選びにおけるひとつの参考材料にしてほしいですね。

トップ企業ほど女性活用が進まない理由

常見:白河さんに「これからの女性の働き方」について伺いたいと思います。社会に出た後、結婚や出産を機に会社を辞めざるをえない女性はたくさんいます。女性活躍論が進む一方、まだまだ女性が長く働ける環境が整備されていない残念な状態です。仕事と出産や子育てといったライフプランを両立させるためにはどうすればいいのでしょうか?

白河:今、働く女性たちは周りから「管理職を目指せ」だとか「輝け」だといろいろなことを言われています。でも当の女性たちに実際にインタビューをすると、目標や理想の働きかたはすごく多様ですし、今いるライフステージによって、コロコロ変わってしまいます。

だから、自分が今働く環境でちゃんと納得できるかどうかを考えるべきです。納得感の得られる会社を選ぶためには、経営者のビジョンを知ることが重要です。その企業は、将来的に女性がちゃんと働き続ける環境を作りたいかどうかがわかりますから。

常見:企業によっては政府が指導するから致し方なくという理由で、見せかけの女性登用を行うところもありますよね。

白河:そういう企業がいちばん困る。政府が言ってきたから、じゃあ仕方なく女性を登用するよという態度ではうまくいくはずがないでしょう。本当に女性がいないと困るという切実さからやるところはうまくいきます。そのせいか、業界のトップにいる企業ほど女性活用がうまく進んでいません。優秀な男性がたくさん志望するからです。

経営者から女性活躍に関して、何もメッセージが発信されないようでしたら、そんな会社は相手にしなくていいと思います。本当にこの女性に辞められたら困るという、差し迫った必要性があるために作られた制度は、会社にとっても社員にとっても利益になります。

ある中小企業は、社長の娘が2人入社して、同じタイミングで子育てに入りました。社員数が少ない中小企業で1度に2人も社員が抜けてしまうのは大きな痛手だったので、15分単位で始業時間を決められたり、30分単位で有給を取れたりする制度を作ったところ、2人とも出産後も働き続けることができました。これは会社にとっても、社員にとってもWin-Winになれる制度ですよね。

常見:学生も制度の有無で会社を選びがちですが、それよりもなぜその制度が作られたのかという背景を知ることのほうが重要ですね。

白河:そうですね。ただ残念ながら、今のところは政府が指導するから制度を作ったという会社がほとんどです。それが遠因となって、復帰した女性がぶらさがり社員になる場合もあります。今後、企業が優秀な女性を採用したいのなら、働く人間にとってアトラクティブな環境を作っていかないといけません。

海外のミレニアム世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた10代、20代の若者)の女性たちは、面接の際に自分から「休みはこれくらいほしい」「子供が出来たときは就業時間を短くしてほしい」といった条件交渉をしているそうです。日本のミレニアム世代の女性たちは、20代の間に子どもを産みたいと考える学生が多いので、そんな世代たちを取り込むためにも、そういった企業の環境づくりが求められるでしょう。

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