女性で弁護士というと、結婚もせず一心不乱に仕事に邁進している、いわゆるバリキャリ女性を想像しがちだ。だが弁護士は、男性はもちろん、女性も既婚率は高く、子どもがいる女性弁護士は珍しい存在ではない、というのが弁護士自身の肌感覚のようだ。
現在、日本弁護士連合会に弁護士登録をしている弁護士は約3万6000人強。このうち女性は6600人強だから、全体の18%ほどだ。女性が働きながら子どもを育てることに社会的理解が進んでいなかった時代に出産をしている世代にも、弁護士業務と両立させ、子を成人させている例は多い。
理解ある人の割合は多いものの……
3人の子を持つ60歳代の女性弁護士は「就職にも困らなかったし、妊娠してもマタハラに遭ったことはない」という。
当時はまだ天下の東京大学法学部卒の国家公務員上級試験合格者でも、女性は中央官庁にほとんど採用されなかった時代。従って、司法修習の同期で検察官や裁判官になった女性はごく例外的な存在だった。
その一方、女性を受け入れる弁護士事務所は当時も一定割合存在し、「そういう事務所を研修所の教官が紹介してくれたから、面接に行って嫌な思いをすることもなく、至って簡単に採用された」という。
「弁護士は人権を守ることが使命。一般企業に比べれば弁護士は女性の人権に理解がある人の割合は多い。とはいえ個人差はあり、女性の人数が増えた今の方が、女性の人権に理解がない事務所の門を、そうとは知らずに叩いてしまう確率は上がっているのかもしれない」とのことだ。
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