ただ、「所属弁護士がある程度の人数いて、産休中事務所の業務に支障が出ないこと、それにやはり家族の協力は不可欠」だという。1人事務所はもちろん、2~3人の事務所でも1人が休めば業務は回らなくなる。通常の保育園の送り迎えだけでも大変だが、子どもが急に熱を出せばすぐに迎えに行かなければならない。この女性弁護士も「実家の母にはずいぶん協力してもらった」という。
37歳で第1子を出産した柴田寛子弁護士は、日本最大の弁護士事務所・西村あさひ法律事務所のパートナー弁護士。徹夜もいとわず激務に耐える「ワーカホリック」でなければパートナー就任など不可能なのかと思いきや、「10数名いる女性パートナーの大半が子持ち」だという。
結婚は2010年。相手は留学先で知り合った勤務医で、第1子を授かったのは2年後。37歳での初産だったが安産だった。
子どもと一緒にいったん寝て、夜中に起きて仕事
ほかに出産経験のある女性弁護士が複数いたため、上司との関係でハレーションはなかった。「そもそも人数が多いし、仕事はチーム制。代わりはいくらでもいる。そのことに一抹の寂しさを感じないではなかった」。
実は柴田弁護士、妊娠がわかったのはパートナー選考に推薦される直前だった。そのときはさすがに辞退し、出産5カ月後に仕事復帰。1年後に改めて推薦を受け、めでたくパートナーに昇格した。「出産で2年昇格が遅れたとはいえ、復帰後1年間実績を積む期間は必要。出産による昇進のハンディはなかった」という。
保育園は生まれる前から準備をし、当初は無認可のところへ入れ、後に認可へ移った。いずれも近所の保育園なので歩いて行き来ができ、子どもを満員電車に乗せずに済む。朝は毎日自分が保育園に連れて行き、迎えは週2日を自分が担当、残り3日をベビーシッターに頼んでいる。
土日はしっかり休み、平日は生活のリズムを子どもに合わせている。夜は子どもと一緒に早い時間にいったん寝て、夜中に起きて仕事をする。
「弁護士はサラリーマンに比べ、ワークスタイルが格段に自由で転勤もない。ネットの発達で在宅での仕事にほとんど障害がなくなり、資料も持ち帰れるものはPDFで持ち帰り、産休中もメールでクライアントとの連絡はつく。実際の業務については同僚に支えられつつ、クライアントとの距離感は産休前とほぼ同様のレベルを維持できた」。
当然限られた時間の中でのやりくりになるので、家事は「手を抜けるところは抜き、人に頼れるところは頼る。日用品は基本、通販で宅急便受け取り。義理の母にもずいぶん助けてもらっている」という。
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