一人娘は赤ん坊の時から夜泣きもせず、ほとんど病気もしない親孝行な子どもではあったが、それでも急に熱を出したり病気になったりすることはたまにはあった。「やむなく法廷を欠席したこともある。その次の回から、裁判官や相手方の弁護士からさんざん意地悪をされたけれど、ほかにどうすることもできなかったのだからと、開き直った」という。
事務スタッフの協力があればこそではあるが、一人事務所や理解あるパートナーとの小規模事務所には、誰はばかることなく子どもを手元に置けるメリットがあるようだ。
高まる「インハウスロイヤー」志向
妊娠は基本的に、計画して出来るものではない。産みやすいように制度を整えた事務所であればあったで、出産の順番には「暗黙の掟」のようなものがあったりもする。
近年は産休・育休の制度がきちんと整備された大企業に魅力を感じ、インハウスロイヤー(組織内・企業内弁護士)を志向する女性弁護士が増えているそうで、それも数ある選択肢の一つなのだろう。
今回話が聞けたママ弁たちは、子育てと仕事の両立は「周囲の理解と協力があってこそ可能」だと口を揃える。人間関係を構築する長年の努力が実を結んでいるからこそ得られる協力なのだろうし、育てられる環境を自ら整える行動力も不可欠だろう。
法曹界は出産・育児と仕事を両立させている女性の割合が、おそらく一般企業に比べ、格段に高い。たくましきママ弁たちの知恵や経験が、多くの働く女性にも生かされることを願う。
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