白い大地で存在感を放つトマト
世界地図を見ると、こんなところにも人が住んでいるのかと気が遠くなる土地がある。
アイスランドも、そんな国の1つだ。北の果て、特に日本を中心とした世界地図では左上(北西)の隅にぽつんと描かれていて、最果ての感がある。実際、北緯63〜67度という北極圏にぎりぎりかかる極北にあり、気軽に行こうとは思わない土地だった。
この国の家庭を訪れることにしたのは、「寒い土地の寒い時期の食事情を知りたい」という興味からだった。
滞在を経て印象的だったのが、自然環境の制約を受けた食事情の厳しさだ。冬が長い、木が乏しい、穀物が育たない。
しかしその中で、ことさら存在感を放っていたのが、真冬でもとれる真っ赤なトマトだった。本稿では、自然の制約を受けたアイスランドの食事情と、トマト生産について紹介したい。


















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