「余ったパンを捨てない」超人気パン屋ドリアンの店主が打ち出した"80点のパンを売る"製法を手抜きする"の深い意味
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手抜きをしたパンは、つくり手も、お客さんも、農家さんも、その周りの人も、みんなが嬉しい方法でした(写真:DogDrawHand/PIXTA)
寝る間を惜しんで長時間働いても、利益が出ない。一生懸命つくったパンなのに、売れ残ったら、衛生上、廃棄するほかない。
そんな状況を打破しようと、広島のパン屋「ブーランジェリー・ドリアン」の3代目・田村陽至さんは、2012年に一時お店を閉めてフランス、オーストリアでパン修業し、店を再スタート。
パンの種類も絞り、ほどほどに働くので時間にゆとりができ、長期休暇もとれるように。そんな田村さんの働き方や、日々を綴った2018年発行の『捨てないパン屋』が、YouTubeでの紹介をきっかけに今改めて注目されています。同書より一部をご紹介します。
第2回は、田村さんのフランスへのパン修業留学のお話。そこで衝撃的な働き方に出合います。
フランスへ1年留学
当時、僕の店はそんなこんなで「人気店」にはなれました。スタッフはみんな頑張って働きまくっていました。だからちゃんと給料を払ってあげたい。だったらもっともっと売らないといけない。そうして、どんどんたくさん焼くようになりました。
いつもフルスロットル。「活気がある」といえばそうだけれど、「余裕がない」ともいえます。
売れるときは売れる。でも、残るときはどんどん残る。振れ幅が大きい。残るパンにショックを受ける。がむしゃらに頑張る。だんだん疲れてくる。余裕がなくなる。優しくなくなる。
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