「余ったパンを捨てない」超人気パン屋ドリアンの店主が打ち出した"80点のパンを売る"製法を手抜きする"の深い意味

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僕がオーストリアの名店「グラッガー」で勉強させてもらったのは、 「手を抜く」ことによる、4~5時間労働でした。

重要なのは、それでいて美味しいこと。そして「錬金術はない」ということ。良い材料を使って普通に焼けば、特別なことをしなくても美味しいパンができ上がるということ。

逆に、そこそこの材料を使っていては、いろんなテクニックを駆使しても、美味しいパンにはならないということ。

そんな彼らの働き方は、言い方を変えると、こうです。

「良い材料を使って、80点を目指す」

「80点を目指す」の意味

捨てないパン屋 手を抜くと、いい仕事ができる→お客さんが喜ぶ→自由も増える
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以前の僕は、一生懸命、100点のパンを目指していました。しかし、どうやら、80点を目指すならば、労働時間は簡単に半分くらいに減るのです。

80点から100点を目指す。

それは、毎日、同じ仕上がりで、形を揃えて、色も、切れ目も、綺麗に、それでいて味も、毎日同じにすること。

この20点を上げる作業のために、今も日本中で、とても多くの人手と時間が消費されていくのです。

材料を良くして80点を目指すと、肩の力が抜けます。その、良い感じに力の抜けた具合がまた良いパンを生みます。そんなナイスなループに入るのです。

「職人が80点で妥協していていいのか!」と疑問に思うかもしれません。大丈夫です。毎日働いていれば、今日の80点は、去年の100点か120点のはずです。

田村 陽至 ブーランジェリー・ドリアン店主

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たむら ようじ / Yoji Tamura

1976年広島県生まれ。祖父の代から70年続くパン屋の3代目。大学で環境問題を勉強。卒業後、北海道や沖縄で山・自然ガイド、環境教育について修業。その後、2年間モンゴルに滞在しつつ遊牧民ホームステイなどを企画。帰国後の2004年、パン屋を継承した。2012年には1年半休業してヨーロッパで修業し、店をリニューアル。2015年秋から一つもパンを捨てていない「捨てないパン屋」。研修生、見学者、コーチング生の夢を応援するのが趣味。2018年『捨てないパン屋』(清流出版)出版。2020年、岡山県蒜山に移住、1町の田んぼで無肥料無農薬の米作りもしている。

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