氷の国なのに…アイスランドが「トマト大国」な訳 農業を支える火山大国ならではの資源活用

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アイスランドを訪れたのは、真冬の1月のことだった。付近を流れる暖流のおかげで寒さはそれほどでもないのだが、とにかく日が短い。昼間と言えるのは5時間ほどで、家にこもりがち。出会うすべての人に「来る時期を間違えているよ」と言われた。確かに観光で来るならば完全に間違えているが、厳しい時期の食を知りに来たのだから、仕方ない。

それでも雪に覆われた大地は雄大で美しく、滞在先の家族は街を離れてドライブに連れていってくれた。

首都レイキャビクから車で1時間半。真っ白で遠くまで見渡せるはげた大地を走り続け、「ランチにしよう」と言われて車を降りたら、ガラス温室が何棟も立ち並んでいた。こんなところで食事ができるのだろうか。

冬の薄暗い空に暖かい光を放つFriðheimar社の温室(写真:筆者撮影)

トマト畑の横には大型レストラン

中に入ると、温かくむっとした空気に迎えられた。トマトの木が列になって植えられ、上には人工照明、下には温水パイプが走っている。日照、温度、土壌水分を自動管理して栽培しているのだそうだ。この温室農場を運営するFriðheimar(フリードヘイマル)社はアイスランド最大手のトマト生産者で、毎日平均1トン以上のトマトを出荷している。

そのトマト畑の横に、レストランスペースが広がっている。ここは、温室の中でトマトに囲まれながら、とれたてトマトの料理が食べられるというレストランなのだ。100席以上あろうかという空間が超満員。観光客に人気のようだ。

しばらく待つと、トマトのすぐ側の席に案内された。看板料理のトマトスープは、酸味も甘味もしっかりあり、しばしば出会う「真冬のスカスカな色白トマト」とは一線を画していた。

テーブルの上の鉢植えバジルを自分で“収穫”して刻む (写真:筆者撮影)

このFriðheimar社のトマトはスーパーでも売られていて、青果売り場には真冬でも新鮮なトマトが並ぶ。アイスランドのトマト自給率はなんと約75%(2010年)。いったいなぜ、この氷に覆われた土地でトマト栽培が盛んなのだろうか。

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