※6月23日追記:20日初出の内容の一部を削除、変更しています。
ママ友の好奇心の対象になりたくない
周囲からの「かわいそう」という眼差しを受けるのが嫌で、1年前に離婚したことをまだ公言していない――。そう話すのは、5歳の子どもと都内で2人暮らしをする新垣彰子さん(仮名、40歳)。メーカーの広報としてフルタイム勤務を続けている。
「離婚を決めたのは、子どもへのかかわり方に関して夫と価値観が合わず、ケンカを繰り返していたから。家の中が殺伐としていく中、離れて暮らしたほうがお互いのためだと思い至り、離婚。夫婦で購入していた一軒家を売却し、都内のマンションに引っ越しました。私自身はすっきりしたものの、子どもに対しては、両親がそろった普通の家庭を守れなくてごめんね、という気持ちがあります」
元夫と子どもは毎週末会い、3人で映画を見に行くこともある。離婚を知らない子どもにとって父親は、「平日は仕事で忙しく、週末にしか会えない」存在だ。子どもには、いつどのように離婚を伝えるか考える一方、保育園のママ友には「旦那は海外出張が多い」などと、ウソをついてやり過ごしてしまう。
「周囲に説明するのが面倒で、もういっそのこと『外国に住んでいます』と言いたいくらい(笑)。離婚して半年ほどは、『本当にこれでよかったのだろうか』『娘のために、両親そろった家庭という形を保つべきだったのではないか』と迷ってばかりでした。離婚したと話したら、好奇心むき出しのママ友から質問攻撃にあってしまう。それに耐えられる自信がなかったんです」
かつて知人に離婚を伝えた際、「お子さん、かわいそうね」と哀れみの表情を浮かべた顔で言われたことがある。そのとき、「かわいそう」という言葉に含まれる、上から評価するような響きに、強い違和感を覚えた。
「『かわいそう』というのは、相手が自分より弱い者だと認識したときに生まれる言葉だと思うんです。もし、子どもが誰かにそう言われたら、『自分はほかの人より劣っている存在なのだ』と思ってしまうかもしれない。母親がクヨクヨするのはやめて、『あなたは全然かわいそうなんかじゃない』と伝えられる人でありたい。強く明るくありたいと、1年経ってようやく思えるようになりました」
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