育休を経て職場復帰した暁には「特別ボーナス」が支給され、妊娠判明時から最長13年もの間、休業や時短勤務を柔軟に認めてくれる会社がある。
「どうせ女性社員を多く抱える大手企業の話では?」と思うだろうか。実は、この制度を作ったのは、今年で創業19年となるワークスアプリケーションズ。大手企業向けのパッケージソフトウェアメーカーである。
現在の社員数は約2800人、そのうち女性は4割弱おり、今やメガベンチャーといわれる規模となっている。だが、「ワークスミルククラブ」というこの出産・育児支援制度が始まった2005年の社員数は、まだ約500人だった。そのうち女性も2割程度と少なかった当時、同社はなぜ女性の復帰制度を手厚く整えたのだろうか。
自ら理想の制度を作りなさい!
きっかけは、2004年にさかのぼる。同社には、経営陣に対して全社員が毎週提出する業務報告書がある。愚痴を含め、何を書いてもかまわないらしい。ある日、この報告書に既婚女性からこんな声が寄せられた。
「出産・育児などを考えると、このまま働き続けられるのか不安です」
当時はまだママ社員がおらず、出産・育児支援制度そのものが存在しなかった。この報告書を受け、牧野正幸代表はこう言ったという。
「自分たちで理想の制度を考えろ!」
このひと声により、有志10人が集まり、本業のかたわら、制度作りが始まった。メンバーは、既婚・子持ちの男性1名を除き、全員女性。まだ子どもはいなかった。
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