人事部門の顧客が多いことを生かし、さまざまな制度や導入事例をヒアリングして制度作りを進めたという。しかし、最初にできた案は、「女性ばかり優遇して男性から批判が出るのではという遠慮があり、どこにでもある制度になっていた」と、メンバーだった奥山優子氏は振り返る。
案の定、牧野代表から、「これで本当に戻ってきたいと思うの?」と、突っ込まれ、こんなことも言われた。
「そんな批判をするような男性ばかりなら、うちの会社は全員女性にしたっていい!」
トップがここまで言い切り背中を押してくれるのだ。奥山氏たちは改めて遠慮を振り払い、協議を重ねた。
育休明けには年棒の15%を支給
こうして制度が完成したわけだが、大きな特徴は、まず法定の規定よりもサポート期間が長いこと。妊娠判明後から、休業や柔軟な働き方が認められる。産後も、最長で子どもが3歳に達した後の3月末まで育休延長が可能だ。
復帰時は、基本的に元の部門に戻るので、意図せぬキャリアチェンジも発生しない。復帰前には面談もあり、仕事内容や働き方などについてしっかり話ができるので、納得した状態で復帰することができる。
また、子どもが小学校を卒業するまで時短勤務が可能だ。本人の申請で通常勤務に戻ることができるが、最適な働き方を模索できるよう、3カ月のトライアル期間が設けられているため、無理なく移行できる。
そしてもうひとつ、他社にないと思われるのが「職場復帰特別ボーナス」だ。育休からの復帰時に、休業前の年棒の15%が支給される。これは、牧野代表の提案だった。女性が復帰する際、夫や家族の無理解がハードルとなることが多々あるため、「女性が会社から必要とされている」と周囲が納得する大義名分を作ったのだ。実際、奥山氏のお母様はこの制度に感激し、復帰の際は気持ちよく送り出してくれたという。
ちなみに、このほかにも同社には、家族同伴で参加できるクリスマスパーティーや、社員の子どもが会社で社会体験できる「ワークスキッズ」など、社員の家族が会社を知る機会となるイベントが用意されている。
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