こうした風土を作っているのは、ほかでもないトップだ。そもそも企業理念のひとつが、「(問題解決能力の高い)クリティカルワーカーに活躍の場を」である。同社は創業時から優秀な人材の採用や活用に相当こだわってきた。同僚が評価しあう「相互多面評価」を取り入れたり、退職後3年間は再入社を歓迎する「カムバック・パス制度」も10年前から導入したりと、昔から独自の取り組みを展開している。
アジア8カ国における「働きがいのある会社」としてベストカンパニー賞を受賞(15年、GPTW)、「後輩にオススメしたいインターンシップランキング」(ジョブウェブ調べ)6年連続1位など、外部からの評価も高い。
このように人材をとことん大切にする同社としては、「ワークスミルククラブ」の創設も当然の取り組みだったのだろう。
制度は変化に合わせて変えていく
当初、「復帰後は成果が出せず評価が下がるかも」というママの不安に配慮し、復帰前と同額の報酬を担保したうえで、時短勤務中は評価対象から外すという規定になっていた。だが、実際は皆、復帰後も他社員と変わらない働きぶりであったため、実施から3年でこの規定は廃止されたという。ちなみに奥山氏は、この規定廃止後、すぐに昇進したそうだ。
10年間で大きな改変はこの1点のみだが、昨今、社内では大きな変化が起きている。たとえば、「ワークスミルククラブ」の資格は、一定以上の職位にある社員に与えられるのだが、最近は同制度の資格を得られない経験の浅い層の出産も増えているという。この層が復帰したあとに成長できるプログラムが課題だ。また、上海やシンガポールなどにも拠点があり、海外国籍の社員も年々増加中。現在、こうしたグローバル化への対応も含め、全員が納得できるような制度改変を進めているところだという。
立派な女性支援制度があっても、形骸化していたり、現場には不満を抱く社員が多かったりする会社は少なくない。女性が働きやすい職場とは、女性が自分に合った働き方を選択することができて、誰もが働きやすい職場であるということが、同社の取り組みから学べるのではないだろうか。
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