「頭のよさは遺伝で決まっている」論の大誤解 「成績がいい人」が必ずしている見えない準備

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自信は、将来の志望にも影響します。たとえば、看護師になるのが昔からの夢だという人が、自分は出来の悪い学生だと思い込んだために、看護学校の卒業は無理だと判断して他の職業を選ぶということもあるかもしれません。

「頭が悪い」は勉強をしない人の言い訳

「頭のよさは遺伝によってほぼ決まっており、後から変えることはまず不可能だ」と多くの人が思っています。かしこい人はがんばって勉強したからかしこいのではなく、いい遺伝子を持っているからかしこいのだと。

したがって、勉強に必死になるのは、自分があまりかしこくないからだということになります。ならば、勉強をがんばったのに試験に落ちたら、目も当てられなくなる……。

勉強したのに悪い成績を取ってしまったら、まずいこと(頭の悪さ)が暴かれてしまうから、「忙しすぎて試験勉強をやる時間がなかった!」という言い訳を用意するのです。

たしかに、頭のよさは遺伝で決まる部分もありますが、何をやるかによっても左右されます。頭のよさは改善できるのであり、だからこそ学習をするのです。「頭がよければ勉強する必要はない」も「試験に落ちたのはバカだから」も間違いです。

「たいていの人は批判によって救われるよりも、褒め言葉によってダメになるほうを選ぶ」と、アメリカの作家ノーマン・ヴィンセント・ピールも言っています。失敗したテストから自虐的な結論を導き出す人は、学校教育や頭の良さに対して、このような見方をしています。

① 頭がいいか悪いかは生まれつきで決まっており、変えることができない
② 頭のいい人は間違いをしない

頭のよさを変えることができるかどうかについて、研究ではどう言われているでしょうか。頭のよさは「知識の量」と「情報をどれだけ容易かつ素早く処理できるか」という2つの要素によって決まります。

この2つ目の要素――「頭の回転の速さ」と言ってもいいでしょう――は、おそらく変えられません。

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