教育の弊害?日本人が圧倒的に苦手な「質問力」 これは「コミュ力不足」ではない。スキルの問題

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大勢の前で気後れするのはわかる(写真:Haru photography/PIXTA)
大学の講義やビジネスの講演会で教師や登壇者が聴衆に向かって「何か質問はありますか?」と投げかけたときに、「ハイ」と手を挙げる日本人は少ない。なぜなら「質問をするのは、その人が無知だから」という思い込みがあるから……。
もっとも、いい質問をすると教師や登壇者がさらに掘り下げて説明してくれるし、ほかの聴衆から感謝されることもある。質問とはスキルだ――アメリカの大学生のバイブルとなっている『勉強脳』の著者であるダニエル・T・ウィリンガム氏は、そう言う。氏は、「質問力」というスキルを磨くことの重要性を同書で力説している。

話題にない情報と関連づけて話を聞く

皆さんは誰かの言っていることが理解できなかったら何をすべきか、わかるでしょう。そう、「質問すればよい」のです。

それでは、自分が何を理解できていないかにも気づいていない場合はどうでしょうか? また、それを防ぐ方法は?

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普段の会話はあらかじめ見通しを立てて行うのではなく、頭に浮かんだことを話しますから、思い浮かんだ順番に話がつながっていきます。しかし、授業は階層的に組み立てられています。つまり、今、話していない情報と関連づけながら授業を聴いてほしいと先生は思っているのです。

そもそも脳は日常的に行う会話を理解するように進化しています。普段の会話は、50分間の話を前もって用意したりせず、思いついたことから話すものです。一度に口にできるのは1文か2文だけなので、「今言ったことと20分前に言ったことを聴き手のほうで関連づけないと理解できない」なんてことはまず起こりません。

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