あるいは、こちらはどうでしょうか。
「先生、19世紀のヨーロッパの歴史について先生のおっしゃったことは、貴族階級の没落が差し迫っていたことと関連していませんか?」
先ほどのツパイにからめたものとは違い、まっとうな質問です。だけど、ぎょっとした顔をしている学生も何人かいるにちがいありません。その気持ちもわかります。そうした学生はこんなふうに思っているかもしれません。
質問するのは「頭が悪い」からではない
「君がわざわざ尋ねているのは、先生が授業で取り上げるほどでもないと思ったことなんだよ。勉強熱心なのはいいよ(たぶんね)。けど、君の熱意になんで俺たちみんながつき合わなきゃいけないの?」
もちろん、多くの人はそんな態度は取りませんし、学習を目的とした場でいろいろと深掘りするのは(少なくとも)大目に見るべきだと思っています。ただ、少数の人に迷惑だと思われるのが嫌だという場合は、新たな領域へ分け入る質問はしないことです。直接、先生に聞きにいってください。
まったく迷惑をかけないのは、わからないところの説明を求めるという、一番おなじみの質問です。意味を聞き逃したため、もう一度言ってもらうようお願いする場合や、根拠となる3つの理由を挙げたときに、2つしか聞き取れなかった場合などがそれにあたります。
内容を理解できた同級生だって、誰しも聞き逃すことがあるのはわかっていますし、それで「進行が遅れる」と言ったって、せいぜい数十秒です。
では、教師が複雑なことを説明し、ただただ理解できなかった場合はどうすればよいでしょうか。もう一度、1から説明してほしいと頼めますか?
「他のみんなは理解しているかも……説明を求めたら頭が悪いと思われてしまうのでは?」と心配になるかもしれません。
これは、理解できたかどうかが問題なのですから、聞き逃したことを尋ねる質問とは違います。つまり「聞き取れませんでした」ではなく、「聞き取れたけれど、私の頭では理解できませんでした」というのが不安の原因です。質問の仕方によって、不安を和らげることができます。
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