教育の弊害?日本人が圧倒的に苦手な「質問力」 これは「コミュ力不足」ではない。スキルの問題

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漠然と「もう一度説明してもらえますか?」と言うのはやめて、まず、自分が理解できていることを話します(「〇〇というところまでは理解できたのですが……」)。そうすれば、教師は的を絞って説明できます(時間の短縮にもなります)。

ビジネスパーソンにも求められるスキル

的を絞った質問をすれば、自分なりに学ぼうとしていることを示せます。自分で理解できた部分と理解が不足している部分を(簡潔に)伝える準備をしてから聞きましょう。

心配性の人は、こうしたアドバイスでも納得いかないかもしれません。では、いったん頭を切り替えて、先生の視点からみてみましょう。

質問によって助かるのは、質問をした人だけではありません。質問には、教師に感想を伝える意味合いもあるのです。まともな教師であれば常に学生の表情をうかがい、混乱させていないかをみています。しかし、それにも限度がありますので、「直接感想を言ってもらえるとありがたい」と思うでしょう。

もう一度説明することが時間の無駄になるかについてですが、それを判断するのはあなたではありません。教師である私たちの側で判断することです。もし質問に答えるメリットがないと思えば、「先に進まなきゃならないから、後でまた取り上げることにしよう」と伝えます。

最後に、「恥ずかしい」という理由で質問できない場合の対処法について。「質問を恐れない」というのは、無知だと思われるとしてもしっかりと身につけるべきスキルです。

仕事では、誰もが自分の性格や能力に反することをしなければなりません。たとえば外交的でコミュニケーション好きな営業職でも、週に1日はデスクワークをしなければならないでしょう。質問するのが好きでなくても、「これはシャイな性格の一部だから変えられない」とは思わず、スキルの1つであり、改善の必要があることなのだと考えてください。

教室では、できれば一番前の席に座りましょう。そうすれば他の人が見えなくなりますし、多少は人目が気にならなくなるかもしれません。まずは練習として、言葉の意味を聞くなど、短めの質問から挑戦してみましょう。質問をすることに完全に慣れることはないかもしれませんが、努力した分、質問をするのが楽になるでしょう。

ダニエル・T・ウィリンガム 心理学者

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Daniel T. Willingham

ヴァージニア大学心理学教授。過去に「学習と記憶」に焦点を当てた研究を行い、現在は、K-16教育(幼稚園から大学までの教育)への認知心理学の応用を研究テーマとしている。『教師の勝算』(東洋館出版社)をはじめその著作は23カ国語で出版されベストセラーに。2017年、オバマ米元大統領より全米教育科学委員会の委員に任命された全米屈指の教育のプロフェッショナルでもある。

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