「甘やかされて育った少女」に訪れた恐るべき結末 習得が難しい「人の気持ちがわかる」という能力

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甘やかされて育った子どもにしのびよる危険とは…?(写真:Graphs/PIXTA)
元法務省職員でこれまで1万人の犯罪者・非行少年を心理分析してきた犯罪心理学者の出口保行氏の最新刊『犯罪心理学者は見た危ない子育て』では、子どもの将来を壊しかねない、家庭教育にひそむ危険性について解説している。
本書に登場するナルミは、子どもを甘やかす家庭で育ったという。その結果、本人が社会性に乏しい大人に育っただけでなく、家庭でも事件が起きた。ここでは、本人も家族も不幸にする、甘やかし型子育ての問題点を紹介する。さらに出口氏は、近年多発する少年や若者による短絡的な強盗事件の背景にも、甘やかしがあるのではと指摘する。
※本記事に出てくる実例はプライバシー等を考慮し一部改変しています。

「お嬢様」ナルミのケース

ナルミはいわゆる「お嬢様」だ。立派な門がまえ、庭園のような庭のある家。両親と、同居している祖父母からの寵愛を一身に受け、何不自由なく暮らしていた。

母方の祖父は創業社長で、一財をなすだけの成功をしていた。地域でも有名な資産家である。

祖父母には子どもがひとりしかおらず、それがナルミの母親だ。自由気ままな母親は会社を継ぐ気がなく、婿養子を迎え入れた。おとなしく、言われたことを何でもこなすタイプの父親は、祖父に気に入られたのだった。現在はナルミの父親が社長なのだが、実質的には祖父のワンマン経営が続いている状態である。

家庭の中でも祖父の存在感は強く、誰も頭が上がらない。母親はと言えば、自分が遊びたい気持ちが強く、家庭より趣味を優先しがちなところがあった。

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