「東大生の就職」コンサル選ぶ"身も蓋もない"理由 今と昔で違ってきた「賢い」ということの基準

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かつては多くの東大生が、高い志を持って官僚の道を目指したものだが(写真:trikehawks/PIXTA)
今の日本で「頭がいい人」と思われているのはどんな人々でしょうか。高偏差値の大学を優秀な成績で卒業した政治家や官僚、あるいは経営者などが頭に浮かぶかもしれません。ですが、生物学者の池田清彦氏は、そうした人々が政治や経済を主導してきた結果が、現在の日本の凋落につながっていると指摘します。
そんな中、「頭がいい」の代名詞でもある東大生の昨今の就職事情がどう変化してきたのかを、池田氏の著書『「頭がいい」に騙されるな』から、一部抜粋・編集して解説します。

竹中・小泉「構造改革」が生んだ偏見

このところの日本では、「今この時点においてもっとも短期的に儲ける」ことのできる人間がいちばん賢いという、一種の偏見が蔓延している。
これは竹中平蔵と小泉純一郎が「構造改革」を行った頃に始まった考え方だ。

会社が赤字で「その赤字を解消するにはどうしたらいいか」となったときに、いちばん簡単なのは人件費を減らすこと。つまり、正社員を減らすことだ。減った社員の分は非正規雇用者を増やして対応することで人件費は安くなるから、当面の危機的状況をしのぐことは可能になる。

たしかにそうやって赤字を減らせば、しばらくは儲けが出るのかもしれない。しかし、日本中の多くの企業がそれをやってしまうと、合成の誤謬(個々人が正しいと思って取った行動が、みんなが同じ行動を取ることで社会的な状況を悪化させてしまうこと)が起きてしまう。

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