「東大生の就職」コンサル選ぶ"身も蓋もない"理由 今と昔で違ってきた「賢い」ということの基準
三島は1年もしないうちに執筆に専念すると言って退職したのだが、ともかく東大を卒業した優秀な学生は、官僚になるものと相場が決まっていた。
ちなみに、そのとき首席で卒業したのはいいだもも(飯田桃)で、日本銀行に入行したが、まもなく結核で退職し、評論家として活躍した。
ところが最近では、東大生の官僚離れが進んでいるのだと耳にする。官僚は長時間労働の割に給料が少なく、このところの風潮として天下りもやりづらくなっていて、就職先としての旨味がないらしい。
それに代わって人気になったのがコンサルタント業というのだが、これこそ目先の利益を追求する極北の仕事だろう。
その仕事内容は、コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスを最適にするやり方を経営者に提案することである。最適というのが何を意味するのかといえば、「次の決算までに会社の利益を上げるとともに、株価を上げるための戦略を練ってアドバイスする」というようなことだ。
実際にやることと言えば、特別に変わった手法があるわけではなく、今あるデータを見て、それを分析していくことが中心だ。
しかし、こういった類の仕事は将来的に、人間がやるよりもAIにやらせたほうが手っ取り早いし確実だということで、職業としてはなくなることも予想されている。今でも自分で調査や分析をするよりは、AIにやらせたほうが効率的だという理由で、AIの出した結論をいくらか手直しして、それを顧客に見せているようなコンサルタントは多いのではなかろうか。
好待遇こそが「コンサル人気」の理由
人気の職業とあって就職はかなりの狭き門のようで、おそらく群を抜いて優秀な学生が集まるのだろう。しかし、その優秀な人間というのは受験を勝ち上がってきた秀才である。彼らの優秀さとはAIが導き出す最適解を、自力でいち早く見つけ出すことに長けている人たちだ。
そうなると今後、優秀なAIが開発されたときには、この種のエリートは完全に不要となる可能性は高い。いくら今のコンサル人気が高いといっても、10年後にも職業として成立しているかどうかもわからない。
就活生であれば「コンサルは将来AIに取って代わられるかもしれない」というような情報も当然知っているだろうが、それでもなおコンサルを目指すのは、給料が高いからだ。
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