「誰とでも仲良く」親の教育が少年に起こした悲劇 周囲を気遣うサッカー少年に起きたまさかの事態
親が「よかれと思って」実践している声かけ・子育てが子どもの未来を呪ってしまっている――。そう語るのは、元法務省でこれまで1万人の犯罪者・非行少年を心理分析してきた犯罪心理学者の出口保行氏。出口氏の最新刊『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』は、そんな実例をまとめた子育ての解説書になっている。
本記事はその中から、「みんなと仲良く」という言葉についての解説を抜粋。大人の世界では仲良くない知人も当たり前に存在する。それにもかかわらず、大人は子どもに「仲良くしなさい」「友だちができて偉い」と言ってしまいがちだ。知らず知らずのうちに、子どもに「きれいごと」を押しつけていないだろうか。非行少年に限らず、どんな家庭でも気をつけておきたい注意点と解決策を解説する。
※本記事に出てくる実例はプライバシー等を考慮し一部改変しています。
責任感が爆発してしまったワタルが向かったもの
ワタルはごく普通の中学2年生。成績は中くらいで、クラスの中ではみんなと仲良く付き合い、のけものにされたりいじめられたりしたこともありません。部活はサッカー部。小学生の頃から地域のスポーツ少年団でサッカーをしており、レギュラーポジションを獲得していました。
そんなワタルの悩みは、自己主張ができないこと。両親からは「みんなと仲良くしてね」と言われ続けてきたので、人の顔色をうかがうのが常となり、自分の意思表示をする前に「人はどう思うだろう」と考えてしまいます。
小学生のとき、サッカーチームでおそろいのユニフォームを作りたいと両親に話したところ「出しゃばらなくてもいいんじゃない」と言われたことがきっかけで、思ったことを言うのが怖くなりました。
その後も、何か提案しようとすると「○○君ちの意見も聞いてからにしないと」などと否定され続けました。こうしてワタルはやりたいことがあっても「どうせうちの親は賛成してくれないだろう」と考え、積極的になれなくなっています。
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