「甘やかされて育った少女」に訪れた恐るべき結末 習得が難しい「人の気持ちがわかる」という能力
たとえば、しばらく体験してみて「本当に続けたいのだったら、こういうプランにしようか」と話し合いながら環境を整えるのです。
やりたいと言ったらやらせて、やめたいと言ったらやめさせるのを繰り返していては、忍耐強く続ける力が身につきません。実際、ナルミの興味は長続きすることがありませんでした。
ペットにしても、最初だけかわいがったものの、途中で飽きて世話をしなくなりました。こういうとき、保護者は指導すべきです。生き物を育てる責任について教えなければなりません。それなのに、性懲りもなく新たなペットを買い与えるとは困ったものです。ナルミは我慢したり、自分の欲求と周囲の状況との折り合いをつけたりといった経験をしないまま大きくなっていったのです。
甘やかして育てられた子は欲求不満耐性が低くなります。思い通りにいかない出来事にうまく対処できず、逃避的行動をとったり攻撃的になったりするのです。
ナルミの場合は、思い通りにいかないことがあると暴力を振るうようになりました。最初に家庭内で暴れたとき、適切な指導ができればよかったでしょう。不満に対してどう対処すればいいのか。一緒に最善の策を考え、「辛いときは支えるからね」と伝えるのです。
ところが、ナルミの家族は一切指導することがなく、事件をも握りつぶしました。家庭内暴力などなかったことにして、ナルミのご機嫌をうかがう生活を続けたのです。
おこづかい制度の決定は社会経験になる
要求されるがままにお金を渡すのも甘やかしです。ナルミは、小さい頃からじゅうぶんすぎるおこづかいをもらっており、自分で稼ぐ気は起きませんでした。おこづかいで派手に遊び、しまいにはホストクラブで遊ぶ金をたびたび家族に無心するようになったのです。
子どもに必要なお金を渡すのは普通のことですが、もう少しおこづかい制度の運用を考える必要がありました。要求されるがままに渡していては、欲求不満耐性も金銭感覚も身につきません。本当にほしいのか吟味することもなくなるので、興味が続かず、飽きっぽくなります。
ほしいものがあったとき、それを得るための計画を立てることは大事です。欲求が全部そのまま叶うわけではないことを知り、自分で計画したり調整したりする経験をするのにおこづかいはよい材料となります。
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