「甘やかされて育った少女」に訪れた恐るべき結末 習得が難しい「人の気持ちがわかる」という能力
「透明性の錯覚」は、自分中心で物事をとらえようとするほど強くなります。自分の内面が相手にどれほど伝わっているかを推測するには、まず自分で自分の内面を認識し、それをもとに、相手から見た自分として「調整」をしなければなりません。相手は自分ほど自分のことをわかっていないのですから、割引して調整する必要がありますが、自分に意識が向いているほど割引が難しくなるのです。
子どもがこのバイアスに囚われないためには、きちんと言葉で伝えるよう促すことです。
たとえば、目玉焼きを目の前に、怒った顔をしている子に「ごめん、醬油がなかった? はい、どうぞ」と渡してあげるのではなく、「どうしたの?」と聞いて、醬油を取ってほしいという気持ちを言葉にさせます。
子どもをよく観察している親は、言わなくても子どもの気持ちがわかってしまうと思いますが、きちんと伝えさせることも大事なのです。
共感性を高めるには?
自分のことは「言わなくてもわかっているだろう」と思うのに、他人の内面はわからず、空気を読むこともできない。甘やかして育てられた子によく見られる特徴です。
「空気を読む」とは、ネガティブな意味で語られることもありますが、ノンバーバル(非言語)な情報を読み取って他者の感情を推測することができるという能力の表れです。空気を読むことができないと、場にそぐわない言動をして反感を買ったりすることも多いもの。集団の中で浮いてしまい、生きづらさを感じる原因にもなります。あえて空気を読まないことがいい場合もあるでしょうが、空気を読めるに越したことはありません。
空気を読むためには、心理学でいう「共感性」の高さが必要です。人の気持ちを推測する練習を積むことで、共感性を高めていくことができます。小学校に入る前から、友だちやきょうだいとの関わりの中で「いま〇〇ちゃんはどういう気持ちかな?」といった声かけをして、相手の気持ちを考えさせることが大事です。たとえば、友だちとオモチャの取り合いになったり、ちょっとした行き違いでケンカになったりするのはよくあることですね。
「あなたはこのオモチャがどうしてもほしくて、○○ちゃんが遊んでいたけど持ってきたんだね。いま〇〇ちゃんはどういう気持ちだと思う?」
「××くんと一緒に遊びたくなくて、『あっちへ行け』って言ったんだね。そうやって言われた××くんはどう思ったかな?」
「取っちゃダメでしょ!」「やさしくしなさい!」と頭ごなしに叱るのではなく、いったんその子の気持ちを受け入れて、それから相手の子の気持ちの推測を促します。
また、同じ場面を共有していても、その場面についての相手の気持ちと自分の気持ちには違いがあることを知ることが重要です。「私が嬉しいのだから、みんな嬉しい」「私が悲しいのだから、みんな悲しい」わけではありません。幼稚園・保育園など集団生活を通して、複数人の気持ちを知る体験が共感性を高めていきます。
気持ちが表現されている絵本を読み聞かせてあげるのもいいでしょう。表情や場面の絵を見ながら、気持ちを理解する練習になります。
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