このゴミ屋敷に住む40代の男性は、10年間交際している恋人を一度も部屋に入れたことがない。しかし、恋人との結婚を機に、ついに部屋を片付ける決意をした。
ゴミ屋敷の住人と一括りにいえども、その背景や性格は十人十色だ。ゴミ屋敷の片付け・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直社長(以下、二見氏)によれば、この40代の男性は中でも珍しいタイプだったという。一般的なゴミ屋敷と、何が違ったのか。
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
動画:「結婚で片付けを決意!ゴミが散乱した部屋で生活していた理由」
「リビングに入れない。積もりに積もった20年分の生活ゴミ」
今まで見たことがないほど大量の新聞紙
男性が一人で暮らすアパートは関西の地方都市にあった。間取りは2DKで家賃は月6万円ほど。20年間この部屋に住んでいるが、15年前からゴミ屋敷の状態が続いているという。
もっともゴミの量が多いのはリビングを兼用するダイニング部分だ。入り口のドアはゴミで圧迫されて開かず、男性はそのわずかな隙間に体をねじ込ませるようにして出入りをしていた。
和室とリビングを隔てるふすまもゴミの圧で動かない。ふすまはゴミの重みで丸く変形している。ソファの上だけはスペースが確保されているが、周りには新聞紙、チラシ、ペットボトル、食品の容器などのゴミが腰の高さまで積み上がっていた。
リビングに比べれば量は少ないものの、和室と洋室も新聞紙やチラシなどの紙類を中心にゴミであふれている。新聞紙に関しては「今まで見たことがないほどの量」とスタッフが驚くほどに溜まっていた。
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