没後4年、芥川賞作家「田辺聖子」今も心打つ生き方 大阪を愛し、大阪弁を愛した「おせいさん」

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大阪の街を愛し、大阪弁を愛した作家の田辺聖子(写真:霜越春樹)
1964年に「感傷旅行」で芥川賞受賞し、2008年には文化勲章を受章した作家の田辺聖子。大阪の街を愛し、大阪弁を愛した理由と生き方に迫る。
※本稿は『道をひらく言葉 昭和・平成を生き抜いた22人』から一部抜粋・再構成したものです。

4世代、20人以上が暮らす大家族の中で育った

花柄の服に、ぬいぐるみ。仕事、恋、人生を上質なユーモアで包んだ柔らかな大阪弁でつづり、多くの読者に愛された作家・田辺聖子。「おせいさん」の愛称で親しまれた田辺はかわいらしいものが大好きだった。

「フランソワーズ・サガンに憧れてたの。サガンの小説が好きだったから、大阪弁でサガンを書こうと思った。だから恋愛小説をたくさんたくさん書きました」

1964年に短編小説『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)』で芥川賞を受賞。一躍、人気作家となる。その後、数多くの小説、エッセイのほか、『源氏物語』の現代語訳など、古典文学の紹介や文学者たちの評伝にも力を注いだ。2008年には文化勲章を受章している。

田辺が生まれたのは1928(昭和3)年。実家は大阪市此花区(現・福島区)で写真館を営んでいた。4世代、20人以上が暮らす大家族とともに、大阪の文化を全身に浴びて育った。

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