《プラネットアース》などの自然番組で知られるデイヴィッド・アッテンボロー氏。氏によれば、過去数十年のうちに人類は地球環境を劇的に変えてしまい、私たちが今すぐに「グリーン成長」や「再野生化」に取り組まねば、人類や地球に未来はないという。今回、日本語版が12月に刊行された『アッテンボロー 生命・地球・未来』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
「永続的な成長」は可能か?
わたしたちが最初に自然から学ぶべきは、成長に関することだ。
わたしたちは世界経済の「永続的な成長」を求めてきた結果、今のような苦境に陥った。しかし有限の世界では、いかなるものも永遠には増え続けられない。
生物界の構成物はすべて、個体も、個体群も、生息環境すらも、一定の期間成長するが、やがて成熟する。成熟後に、繁栄が可能になる。繁栄のためには、必ずしも大きくなる必要はない。
個々の木も、アリのコロニーも、サンゴ礁の集まりも、北極全体の生態系も、首尾よく成熟したとき、長期にわたって存続できる。あるところまで成長すれば、環境を最大限に利用できるようになる。
それは新たに獲得した地位のなせるわざだが、あくまで持続可能な形でなされる。どの場合も、急成長を遂げる対数期から始まり、ピークを経て、定常期へと移行する。
生物界との相互作用しだいでは、その安定した定常期がいつまでも続くことがある。だからと言って、定常期の自然界に変化がないわけではない。
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