「GDPの上昇」を追い求め続ける人類の悲惨な末路 私たちが目指すべき「永遠なる成長」以外の道

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2006年にニュー・エコノミクス財団によって考案された「地球幸福度指数」は、まさにそのような未来の実現をめざすものだ。

地球幸福度指数は、一国のエコロジカル・フットプリントと、国民の幸福に関わる要素(寿命や、満足感や、平等)から算出される。この指標を使って世界各国に順位をつけると、GDPの順位とはまったく違う結果になる。

2016年のランキングでトップに立ったのは、コスタリカとメキシコだった。両国とも幸福度の平均スコアでアメリカと英国を上回り、エコロジカル・フットプリントもごくわずかだった。

確かに地球幸福度指数は完璧ではない。合計点による順位づけなので、ノルウェーのように、フットプリントが大きくても、幸福度のスコアが高ければ、上位にランクされることがある。

またバングラデシュのように、幸福度は低いが、フットプリントが小さいおかげで、上位にランクされる国もある。

それでも地球幸福度指数やそれに似た指数が数多くの国々で、GDPに代わる指標として真剣に検討され、人類の一致協力した取り組みについての議論を広く喚起している。

ニュージーランドの画期的な試み

2019年、ニュージーランドは経済的成功の主要指標としてGDPを用いるのを正式にやめるという大胆な一歩を踏み出した。

既存の代替指標は導入せず、代わりに急を要する国民的な関心事にもとづいて、独自の指標を作った。それは3P(利益、人、地球)をすべて踏まえたものだった。

このたった1つの行動によって、ジャシンダ・アーダーン首相は国の優先事項を単なる成長から、多くの人が現在抱いている懸念や希望により即したものへと切り替えた。

この方針の変更があったおかげで、2020年2月に国内で新型コロナウイルスの感染が見つかったときも、思い切った決断を下しやすかったのかもしれない。

ほかの国々が経済への影響を心配して、躊躇する中、彼女はまだ死者がひとりも出ていない段階で、全国的なロックダウンを実施した。おかげで初夏には新規感染がほぼなくなり、制限のない活動が可能になった。

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