「男性育休」促進は会社にとって「損」という大誤解 積水ハウスと技研製作所に推進の理由を聞いた
育児・介護休業法の改正に伴い、今年度から段階的に育児休業の枠組みが変わる。4月から、企業には育休を取得しやすい雇用環境の整備が今まで以上に義務づけられた。10月からは、育休の分割取得や、夫婦間で交代しての育休取得が可能になる。
男性の育休取得促進が期待される今回の法改正だが、男性が育休を取ることに対して拒否感を示す企業はまだまだ多い。「男性育休取ろうとするなんて、どうかしている」「育休取れるのが当たり前と思わないでね」「積極的に取ってほしいとは思わない」──。といった声も聞こえてくる。
また、厚生労働省の調査によると、男性が育休を取得しない理由として「収入減への懸念」や「職場の雰囲気や無理解」、「自分にしかできない仕事がある」ことが挙げられている。
そんな中、積水ハウスは1カ月以上の男性育休100%取得を実現。技研製作所も男性育休取得率0%から、たった1年で30%にまで上昇した。会社を挙げて推進する理由とは? 企業側にとってのメリットとは? 取材した。
「事前準備ない企業は10月以降の混乱必至」
「『産後パパ育休』が始まる10月以降、多くの企業で男性育休による混乱が起こると予想されます」そう話すのは、企業向け研修やコンサルティングをおこなう、スリールの堀江敦子代表だ。
「産後パパ育休」とは、出生から8週以内に4週間の育休が取得できる制度で、2回までの分割取得が可能だ。さらに10月からは、通常の育休(出生8週以降)も、2回まで分割して取得できるようになる。
複数回の分割取得や、夫婦間で交代取得が可能となるため、企業側の実務も複雑になる可能性があるが、現状としては「今回の法改正について、いまだに知らない人が多い」(堀江代表)という。
「従業員の育休取得に対応できるよう、企業が事前準備しておかなければ、突然の取得申告で混乱が生じるのは目に見えている。混乱が生じたとしても、それは育休取得者のせいではなく、準備しなかった企業の責任になります」(堀江代表)
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