「男性育休」促進は会社にとって「損」という大誤解 積水ハウスと技研製作所に推進の理由を聞いた
同社ダイバーシティ推進部の木原淳子氏は、「『福利厚生として、取りたい人だけが取得する』のではなく、『全員で育休推進に取り組めば、社員にも会社にもプラスになる』と、あくまで経営戦略の1つとして、男性育休の推進に取り組んでいる」と話す。
給与については、育休1カ月目は有給とした。また、評価やボーナスについても、経営陣から「育休が影響することはない」と、制度開始時に打ち出した。
育休推進にあたり、同社では育休前に夫婦で家事育児の分担について話し合う「家族ミーティングシート」を作成。現在の家事育児の分担を確認したうえで、育休中、そして復職後の分担まで話し合える内容になっている。
「分担表にチェックを入れると、普段家事をしているつもりの男性も、『意外とできていなかった』と、妻に感謝の気持ちが生まれるようです。復職後についても話し合うことで、家族のあり方や協力体制を考えるきっかけになる」(木原氏)
また、同社イントラネット上にアップしている「男性育休ガイドブック」には、育休を取得した社員へのアンケート結果や、ママからの一言を掲載。家族ミーティングシートと併せて、男性育休の充実を図っている。企業として、育休の充実度までサポートする意図はどこにあるのだろうか。
「育休制度は、家族の幸せのための制度。『取るだけ育休』や『ゴロゴロ育休』となってしまっては、本末転倒です。会社として、『せっかく取得してもらうなら、充実したものを』と考えています」(木原氏)
「育休は業務効率化や人材育成に繋がる」
同社において育休期間の下限を1カ月としたのは、育休の副次的効果を見越してのことだった。
「1~2週間の短期休業の場合、業務を先延ばしにするなど、当事者ひとりの力で何とかなってしまう。でも、1カ月不在になるなら、業務の棚卸しや断捨離、引き継ぎが必要となり、ひいては業務効率化や人材育成に繋がると考えました」(木原氏)
以前から、働き方改革や業務効率化には取り組んでいた同社だが、「実際に育休取得者が不在になるとわかると、今まで以上の速さで業務見直しが行われた」(木原氏)という。各部署で、今まで1人で行っていた業務を2人態勢にするなど、誰が休んでも業務が回る仕組みを構築している。
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