「男性育休」促進は会社にとって「損」という大誤解 積水ハウスと技研製作所に推進の理由を聞いた
育休制度運用開始当初は、「『自分の都合で、お客様との打ち合わせができないなんて』という声もあった」(木原氏)というが、追い風となったのは意外にも、顧客の声だった。
「育休による担当者変更や、打ち合わせ日程の変更を説明した際に、『良い制度ですね』とか、『家族を大事にする人から家を買いたい』など、お客様から前向きなご意見をいただくことが多い」(木原氏)
育休取得を推進するなかで、育児者だけが優遇されているという意見はないのだろうか。
「会社の姿勢として、『育休を取れる環境を作ることが、自己啓発や趣味、介護のために、誰もが自由に休める環境作りにつながる』と発信してきました。あくまでも、結婚や出産は個人の自由。育児者だけを優遇する姿勢ではないと打ち出すことは大切だと感じます」(木原氏)
「男性育休取得率0%から、1年で30%に」技研製作所
男性育休取得率0%から、たった1年で30%にまで上昇した企業がある。建設機械メーカーの技研製作所だ。
同社では、女性活躍推進法の施行(2016年)を機に、社内の課題解決に向けた女性中心の部門横断型プロジェクトを始動。女性活躍のためには、男女ともに働きやすい環境が必要だと考えたとき、「男性育休取得0%(2018年度)」という課題が浮かび上がってきた。
「男女ともにいつでも休めるようになれば、社員の幸福度や満足度が向上し、個人の生産性アップにも繋がります。また、誰かが休むことで、業務の属人化排除や効率化が図れて、会社が活性化します。会社が活性化すれば、男女ともに活躍でき多様性の尊重にもつながります」そう話すのは、同社内部監査室の簑田美紀執行役員だ。
2019年には、プロジェクト内に男性育休推進チームが発足。すぐに全社員に向けて男性育休取得に対する不安を調査した。その結果、育休中の収入に不安を感じている社員が多いとわかり、育休中の育児休業給付金のシミュレーションツールを開発した。
「シミュレーションツールで手取額を見ると、育休中も休業前の8割程度の収入が得られるケースがほとんど。育休中の収入についての不安軽減につながりました」(簑田氏)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら