「男性育休」促進は会社にとって「損」という大誤解 積水ハウスと技研製作所に推進の理由を聞いた

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では、企業は具体的にどのような準備をしたらよいのだろうか。堀江氏は、「働き方の整備」、「休業中の社員への評価の正当化」、「管理職のマネジメント力の強化」の3つを挙げた。

1つ目の働き方の整備とは、「誰もが1カ月休んでも業務が回る仕組み作り」のことだ。「まずは、つねに2,3人のチームで業務にあたり、議事録や資料を都度作成し、誰でも閲覧できる環境にすることからスタートするといい」(堀江代表)と言う。

評価については、例えば「2年連続高評価でなければ昇進・昇格できない」、「評価期間に休業している場合、その年度は評価なしとする」といったルールは、育休中の社員について除外するといった配慮が必要だ。

管理職のマネジメント力強化については、「部下と一対一で話す機会を設けても、いまだに業務の確認だけをおこなう人が多い。今は多様な人材が増え、個々人に合わせたマネジメントが求められている。部下の家族の話を普段から聞いていれば、育休取得の時期も早く把握でき、十分な準備期間も確保できる」(堀江氏)と話す。

「男性育休取得率100%の積水ハウス」

大手総合住宅メーカーの積水ハウスの調査では、8割近い就活男性が「男性育休注力企業を選びたい」と答えている。堀江氏は、「企業が男性育休を推進することは、優秀な人材を集めることにもつながる」と、話した。

7割を超える就活層が、男性育休注力企業を選びたいと答えている(出所)積水ハウス「男性育休白書2021特別編」
積水ハウス

その積水ハウスでは、3歳までの子どもを持つ男性社員に対し、1カ月以上の育休取得を推進している。2018年の制度開始以降、今年5月末までに1319名が男性育休を取得。グループ全体の取得率は、2021年4月以降100%を継続している。

男性育休推進のきっかけは社長だった。仲井嘉浩社長は出張先のスウェーデン視察中に公園でベビーカーを押している人が全員男性だったということに驚いた。その後、スウェーデンでは男性も育休を取ることが当たり前ということを知り、感銘を受けた。帰国後にすぐに「うちでも何とかならないのか」と自ら関係各所に指示を出したのが男性育休推進の始まりだ。

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