温暖化対策「優先すべきはEVより窓交換」の真実 新技術に期待するより確実に見込める省エネ

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住宅のエネルギー消費で最もロスが多い「窓」を省エネ対応の製品に交換する効果は大きい。(写真:kker/PIXTA)
世界のリアルな姿を捉えるには、数字をチェックするのがいちばんわかりやすい。今回は地球温暖化対策として効果的なのは、どんな施策なのか、バーツラフ・シュミル氏が新著『Numbers Don’t Lie』を基に解説する。
前回:「技術革新の追求を礼賛する人」に伝えたい真実
前々回:「北欧は幸福度が高い」と思う人に教えたい真実

最善の省エネ策は「三層ガラス窓」

確立されていない技術で問題を解決しようとするのは、エネルギー政策にとっては災いのもとだ。ソーラーパワーで走る自動運転車、安全性がきわめて高い小型原子炉、遺伝子操作による光合成強化など、例は尽きない。

それなら、効果のほどが実証されている技術から利用するほうがいい。それも、エネルギーの需要を減らせる技術を活用するのが手っ取り早い。まずは、住宅や商業施設といった建築物から工夫してみよう。

というのも、アメリカでもEUでも、一次エネルギー消費の約40%は建築物によるものだからだ。なかでも、住宅のエネルギー消費の約半分は冷暖房によるものであることを考えれば、わたしたちにできる最善の省エネ対策は、もっと性能の高い断熱材を利用して、熱が室外に出ていかないように(あるいは室内に入ってこないように)することだ。

断熱材が最も効果をあげる場所は、エネルギーロスが最も多い窓だ。温度の異なる流体(空気)が壁や窓を介して接する場合、温度の高いほうから低いほうへと熱伝達が起こるが、この移動しやすさをあらわす数値を熱貫流率という。壁や窓の表面1㎡を1秒間で通過する熱量をあらわすワット数を、その両側の絶対温度差ケルビンで割ったものである。

さて、1枚の窓ガラスの熱貫流率は5.7~6W/㎡K(ワット毎平方メートル毎ケルビン)で、6ミリメートルの中空層を挟む二層ガラス窓の熱貫流率は、あいだに熱を伝えにくい空気があるため3.3になる。

紫外線と赤外線の透過を最少にするコーティングをほどこすと熱貫流率は1.8~2.2まで下がり、さらにガラスのあいだの空気層にアルゴンガスを封入して熱伝達の速度を下げると、1.1まで下がる。

三層ガラス窓に同様の処理をほどこせば、0.6~0.7にまで下げられる。アルゴンガスより断熱性能の高いクリプトンガスを封入すれば、0.5にまで下げることも可能だ。

つまり三層ガラスを利用すれば、ふつうのガラス窓1枚だけの場合より、熱の損失を最大90%減らせるようになる。省エネルギーの世界では、数十億(枚)という単位の対象物で活用できる手法などほかにない。それに、実際に省エネ効果があることがわかっているのだ。

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