温暖化対策「優先すべきはEVより窓交換」の真実 新技術に期待するより確実に見込める省エネ

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これまでの歩みを振り返ると、効率のいい暖房器具が登場するたびに、驚くほどのスピードで普及していったことがよくわかる。

例えば1950年代、チェコとドイツの国境近くで暮らしていたわが家は重い鋳鉄製の薪ストーブで部屋を暖めていた。この薪ストーブの熱効率はせいぜい35%で、残りの熱は煙突から逃げていってしまう。

1960年代初頭となり、わたしがプラハで研究に打ち込んでいたころ、この都市はもっぱら褐炭という低品質の石炭を暖房に使っていて、わたしが褐炭をくべていたストーブの熱効率は45~50%だった。

そして1960年代後半、わたしたち夫婦はアメリカのペンシルべニア州で暮らしていた。住まいは郊外の小さな家の上階で、そこの古いセントラルヒーティングの暖房ボイラーは石油を燃料としていて、熱効率は55~60%といったところだった。

1973年、わたしたちがカナダに渡って最初に住んだ家には熱効率が65%の天然ガスのボイラーがついていた。その17年後、こんどはもっと新しくて効率のいい家に引っ越したので、熱効率94%のボイラーを設置した。そして、ついには97%の熱効率のボイラーに交換したのである。

天然ガスの暖房ボイラーの内部構造(画像提供:NHK出版)

天然ガスへの移行が進む

このようにわたしたち夫婦は自宅の暖房器具に関して、燃料においても効率性においても数年おきに改善を続けてきたわけだが、北半球に暮らす数千万もの人たちも同様の体験を重ねてきた。北アメリカでは天然ガスが安価である。

ヨーロッパでもオランダ、北海、ロシア産のガスを混合して利用できる(北アメリカより高価だが入手しやすい)ので、北部の寒冷地に暮らす人たちの大半は、薪、石炭、燃料油の代わりに、最もクリーンな化石燃料である天然ガスに頼るようになった。

カナダでは、2009年に中程度の熱効率(78~84%)の暖房ボイラーの生産が終了し、新築の家屋には熱効率が90%以上のボイラーを設置しなければならなくなった。欧米諸国でもじきにそうした基準が設けられるだろうし、中国も天然ガスの輸入量を増やし、石炭から天然ガスへと移行しつつある。

よって、もっと効率化を進めたいのであれば、ほかのところに目を向けるべきだろう。

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