海に漂う「プラスチックごみ」の深刻すぎる影響 生物の体内にも蓄積、使用量削減の必要性

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世界で深刻化するプラスチックごみ問題。今後、私たちはどのような取り組みをしていくべきなのだろうか(写真:apomares/iStock)
ここ数年、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)や主要20カ国・地域の会議(G20)など国際政治の舞台に急浮上した海のプラスチックごみの問題。日本でも、来年4月からレジ袋を有料化することが義務付けられる。世界各国の取り組みが加速しつつある今、改めて、プラスチックによる環境汚染研究の第1人者、東京農工大の高田秀重教授にインタビュー、問題の本質を聞いた。世界の研究最前線から見えるのは、海の生物に健康への影響が現れはじめているという、恐るべき現実だ。

海の生物がかわいそう、と関心高まる

――海のプラごみ問題は、クジラ、海鳥など海の生物が胃の中にプラごみをつまらせて死んでしまったり、ウミガメの鼻にプラスチック製ストローが突き刺さったりした例が知れ渡り、関心が高まったのがきっかけといわれます。

私たちは、北海道大学の綿貫豊教授との共同研究で、海鳥ハシボソミズナギドリの調査を行っています。体重が約500gの鳥で、南半球のタスマニアから北半球のベーリング海の間を行き来する渡り鳥です。2005年にベーリング海で漁業用の網に引っ掛かって死んでしまった鳥について、合計12羽を解剖して胃の中を調べました。すると、胃の下部に砂嚢という器官があり、ここにプラスチックがたまっていました。砂嚢には砂や小石が入っていて、食べ物をすりつぶして消化を助けるのですが、1羽当たり0.1〜0.6gのプラスチックが検出されました。

鳥の体重500gを100倍すると、人間の体重50kgになるので、プラスチック0.6gの100倍、60gのプラスチックが私たちの胃の中にあると同じことになります。これはなかなか苦しいですよね。胃の中に60gのプラスチックがあると、本来の食べ物を十分消化できなくなったり、胃の中、腸の中が傷ついたりする恐れがあります。

――海のプラごみの中でも、長さが5mm以下のマイクロプラスチックは生き物の口に入りやすいですよね。

プラスチックは、海を漂っているうちに、紫外線や波の力で劣化して小さくなっていきます。

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