日本のプラスチックごみが溢れ返り始めた訳 中国の禁輸措置で資源循環の前提が崩れた
海洋ごみに端を発し、世界を揺るがす「プラスチック問題」を機に、政府は循環型社会づくりを加速させようとしているが、その実現が早くも危ぶまれている。昨年末から実施された中国の固形廃棄物禁輸の影響が、当初の予想以上に大きいことがわかってきた。このままでは早晩、日本国内に廃プラの山が放置される事態が生じかねない。廃棄物処理の現場からはそう危惧する声すら挙がる。
国内に滞留する廃プラに処理が追い付かない現状
日本のプラスチックの生産・消費量は年約1000万トン。私たちの生活は、便利なプラスチック用品なしには考えられない。家庭ごみは「一般廃棄物」として区市町村の責任で処理される。事務所から出るペットボトルや弁当の容器を含め、レストランから出るプラごみ、建物の内装材、家電製品、電線、自動車などに含まれるプラスチック、製造工場から出るプラスチックくず(端材)などはすべて、「産業廃棄物」として事業者の責任で処理される。
中国政府は2017年7月、「固体廃棄物輸入管理制度改革実施案」を公表した。「一部の地域で環境保護を軽視して、人の身体健康と生活環境に対して重大な危害をもたらしている実態」を踏まえ、基本的に固体廃棄物の「輸入管理体制を十全なものとする」「回収、利用、管理を強める」とした。具体的には、昨年12月末から、非工業由来の廃プラスチック、廃金属くずなど4類24種の輸入を禁止。今年12月末には、工業由来の廃プラ、廃電子機器、廃電線・ケーブルなどの輸入を禁止する。
中国の輸入禁止措置による影響について、環境省が8月に政令市と廃棄物処理業者を対象にアンケート調査を行ったところ、自治体の約25%が「保管量が増加、もしくは基準の上限を超える量が保管されている」と回答。また、処理業者の約35%が「受け入れ制限を行っている、もしくは検討中」と答えた。
中国の措置に伴い、マレーシア、ベトナム、タイなどへの輸出は増加。しかし、「中国に輸出していた量には及ばない」(宮城県の報告)とされるほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、東南アジア各国も輸入禁止への流れを強めていると分析している。
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