海に漂う「プラスチックごみ」の深刻すぎる影響 生物の体内にも蓄積、使用量削減の必要性
例えば、私たちがいろいろな国のペットボトルのふたを集めて分析したところ、半分くらいの国のペットボトルのふたからノニルフェノールという化学物質が出てきました。日本のミネラルウォーターのボトルのふたからは検出されませんでしたが、炭酸飲料のふたからは検出されました。酸化防止剤として添加されたものが分解したと思われますが、ノニルフェノール類には、内分泌かく乱作用があります。臭素系難燃剤の1つ、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)も海に漂うプラスチックから検出されています。PBDEも内分泌かく乱作用をもつ物質です。
もう1つは、海に漂うプラスチックは、周辺の海水中から有害な化学物質を吸着する、吸い寄せるという性質があるのです。
私たちが20年前に東京湾で実験を行い、2001年にアメリカの科学雑誌に発表した例があります。新品のPE製ペレットを東京湾沿岸に浮かべて経時的に採取したものを分析したところ、プラスチック中のPCB濃度が日を重ねるごとに上昇していました。
海を漂うプラスチックごみの危険性
――海に浮かぶプラスチックはどうしてPCBを吸着するのですか。
プラスチックは、石油という一種の油から作られているので、PCBのように油になじみやすい汚染物質がプラスチックにどんどんくっついてくるのです。
海を漂うプラスチックごみに有害な添加剤が残っていたり、周りの海水中から残留性有機汚染物質を吸着したりすることで、海のプラスチックごみは、汚染物質を運ぶ「運び屋」になっています。生物の体の中に有害化学物質を運び込んでいるともいえます。
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