海に漂う「プラスチックごみ」の深刻すぎる影響 生物の体内にも蓄積、使用量削減の必要性
ですが、それだけではありません。1mm以下の球状のプラスチック粒、マイクロビーズは化粧品や洗顔料にスクラブ材(磨き粉)として配合されていますが、洗顔の際に排水に入り、下水道や河川を通じて海に入ります。ポリエステル、ナイロン、最近ではフリースといった素材を洗濯すると発生するくずもマイクロプラスチックになります。台所のポリウレタン製やメラミンフォームのスポンジやアクリルたわしも使っているうちに削られ、排水に入ります。
もちろん、排水は下水処理場に集まり、他の粒子とともに除去、処理されます。しかし、雨が降ると雨水と一緒に排水が川や海に放流される合流式下水道もあり、現在の下水処理システムでは完全に取り除くことはできません。
世界中の海に漂うマイクロプラスチックは、50兆個以上あるという推計もある。また、海底に沈む泥の中に相当量のマイクロプラスチックがたまっているのではないか、とも言われています。
――渡り鳥だけではなく、私たちが日ごろ食べている魚からプラスチックが検出された例があるのですか?
世界では、ベルギー産のムール貝やフランス産のカキからマイクロプラスチックが検出されたと報告されています。アメリカの研究者がアメリカとインドネシアのマーケットで魚貝を買い、調べたところ、いずれもマイクロプラスチックが検出されたという報告もありました。
微量のプラスチックでも有毒な可能性が
私たちは、日本ではどうかと、東京湾で釣ったカタクチイワシ(アンチョビ)を調べてみました。2015年に長さ10~12cmのイワシ64尾を調べました。釣った魚の消化管、胃と腸の中のものをアルカリで溶かして、溶けずに浮いてきたプラスチックを測定したところ、8割に当たる49尾から、1尾当たり2〜3個、多いもので1尾から15個のプラスチックが検出されました。ポリエチレン、ポリプロピレンの破片やマイクロビーズなどです。検出されたものは長さ1mm前後で、このサイズであれば、人が食べても排泄されるので問題はないのですが、有害化学物質が含まれているかもしれないので心配です。
――海のプラスチックが有害化学物質を含むのですか?
そうなんです。なぜかというと、1つには、添加剤としてもともとプラスチックに加えられているケースがあります。プラスチックを柔らかくするための添加剤や、紫外線があたってボロボロになるのを抑える化学物質も添加されます。燃えないようにするために難燃剤を加えることもあります。
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