温暖化対策「優先すべきはEVより窓交換」の真実 新技術に期待するより確実に見込める省エネ

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複層ガラス窓の断熱効果が高いのは、物理学的に考えれば異論のないところではあるが、問題となるのは費用だ。そうはいっても、三層ガラス窓は昔ながらの二層ガラス窓より15%ほど費用が高いだけだし、その見返りも十分ある。

にもかかわらず、二層ガラス窓を三層ガラス窓に交換する手間をかけるまでのことはないと思われている。三層ガラス窓に替えれば、快適に暮らせるようになるうえ、窓ガラスに結露もできにくくなるというのに。それに、なんといっても三層ガラス窓を導入すれば今後数十年にわたってエネルギー消費量を減らせるのだ。

そもそも、世間では先見の明があると言われている人たちでさえ、なぜ新たなエネルギー変換技術といった見通しの悪いテクノロジーに資金を投じたがるのだろう? 実際にうまくいくかどうかわからないし、仮にうまくいったとしても、環境に悪影響を及ぼしかねないというのに。シンプルな断熱技術を活用するほうが、よほど効果があるというものだ。

複層窓ガラスの構造(画像提供:NHK出版)

たいていの人は効率のいい新技術に目を向ける

地球全体の気候を長期的にシミュレーションする現在の気候モデルが正確だとして、温暖化による深刻な事態を回避するために産業革命後の気温上昇を2℃(できれば1.5℃)までに抑えなければならないのであれば、試したことのないさまざまな手段を講じて炭素排出量を減らすしかない。

そのために、たいていの人は効率のいい新技術に目を向ける。例えば、発光ダイオード(LED)のような高効率の技術や、電気自動車のようなまったく新しいエネルギー変換技術の導入に熱心に取り組むというわけだ。

省エネのほうが現実的な解決法ではあるのだろうが、残念ながら、世界の寒冷地でこれまでずっと最大のエネルギーを消費してきたもの、すなわち住居の暖房の効率を上げる方法は、三層ガラス窓を除けばほとんどない。

住居に暖房器具を必要とする人の数は、世界で約12億人。EU、ウクライナ、ロシアに約4億人、北アメリカ(アメリカ南部と南西部を除く)にさらに4億人、そして中国の東北部、北部、西部地域にさらに4億人。しかし、既存のどんな暖房技術に目を向けても、今以上の効率化はまず望めそうにない。

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