温暖化対策「優先すべきはEVより窓交換」の真実 新技術に期待するより確実に見込める省エネ

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さらに、複層ガラスがあれば快適に暮らせるというおまけもついてくる。

例えば外気温がマイナス18℃(カナダのアルバータ州エドモントンなら1月夜間の気温で、ロシアのノボシビルスクなら日中の気温)で、室内温度が21℃だとすると、1枚ガラス窓の室内側の表面温度は1℃前後、昔ながらの二層ガラス窓では11℃、最高品質の三層ガラス窓なら18℃だ。

ガラスの表面温度がそれだけ高ければ、窓のすぐそばに座っていても快適にすごせるというものだ。

三層ガラス窓には、室内側のガラスの表面温度が露点を超えるため、結露が発生しにくくなるという利点もある。スウェーデンやノルウェーではすでに普及しているが、カナダでは安価な天然ガスを利用できるため、2030年までに義務化されることはないかもしれない。また、ほかの寒冷地の自治体でも、Low-E二層ガラス窓を基準としている程度のところが多い。

エアコン普及が進む今こそ必要な断熱の知識

寒冷地の国々は、これまで長い時間をかけて断熱について学んできた。一方、気候が温暖な国では断熱に関する知識があまり広がっていない。しかし、エアコンが普及しつつある今こそ、断熱に関する知識を広めなければならない。とりわけ中国とインドの地方の建築物では、いまだに1枚ガラスの窓がふつうなのだから。

もちろん、暑いときにクーラーをつけたときの気温差は、高緯度の地域でヒーターをつけたときの気温差ほどには大きくない。

例えばカナダのマニトバにあるわたしの自宅では、1月の夜間の平均気温はおよそマイナス25℃だから、就寝中にサーモスタットを切っていても、室内と外気の気温差は40℃もある。

高温地帯の冷房はそこまでの温度差をつくりだす必要はないから、時間当たりでいえば、そのためのエネルギーは相対的に小さくてすむだろう。とはいえ、高温多湿の地域でエアコンをつける時間は、カナダやスウェーデンでヒーターをつける時間よりもだいぶ長いため、やはりエネルギーを消費する。

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