「タクシーの仕事が最後の砦」地方運転手の本音 流転タクシー第9回、姫路のベテランが語る実情

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兵庫・姫路駅前は客を待つタクシーが非常に多い(筆者撮影)

地方のタクシードライバーの働き方は、都心とは毛色が異なる。大都市で見られるような路上での“流し”はほとんど見当たらないし、利用者が移動手段としてタクシーを選択する用途もより限定的だ。

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多くの地方都市は車文化の上に成り立っており、そもそもタクシー=贅沢なものという認識が浸透している側面もあるのだろう。

本連載の中で都心部を中心にコロナ禍の業界の変転を伝えてきたが、明言できるのは都市部よりも地方のほうがより深刻なダメージを受けているということだ。

ことドライバーの収入に関しては明確な差となって現れ始めている。そして、地方ならではの問題も少なくない。

タクシー事業者数が多い兵庫県

今回はタクシー事業者数が台数との比較で非常に多い兵庫県を見ていくことにする。国土交通省の調べによれば、兵庫県は法人車両6,848台に対して217社。新規参入が困難なタクシー、ハイヤー業界においてかなり異質な数ともいえる。

隣接する大阪が15,419台に対して209社、神奈川県が9,834車両に対して185社であることを踏まえれば、事業者がいかに多いかを理解できるはずだ。単純な比率でいっても、広島県に次ぎ全国でも2位である。(数字はいずれも2018年3月末時点)

県内のタクシー会社幹部が、この背景について解説する。

「面積が大きな兵庫県では、神戸市域、丹波、但馬、淡路島、東播磨、姫路・西播磨と大きく分けて6つの交通圏があります。そのエリアをカバーするために、各エリアにタクシー会社が点在している。15年ほど前までは250社近かったことを踏まえれば減少はしているが、それでもまだ多い。

規模的には西宮や尼崎、芦屋も含まれた神戸市域が最も活発で、売り上げも大きい交通圏になっている。逆にいえば、あとのエリアは年々細っている地域ともいえます。いわゆる一部の大手さんが台数を保有するというよりは、中小の地元に根づいた企業が多いのが兵庫県の特徴です」

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